労務管理

【従業員が飲酒運転など業務外で犯罪を起こした場合】懲戒処分は可能?企業が取るべき実務対応を徹底解説|ひらおか社会保険労務士事務所

「従業員がプライベートで飲酒運転をした」
「休日に万引きで警察沙汰になった」
「SNSで違法行為を投稿して炎上した」

このように “業務外”の場面で従業員が犯罪や不祥事を起こすケースは、どの企業でも起こりうるリスクです。

では、会社はその従業員に対して 懲戒処分を行えるのでしょうか?

結論としては、


◆ 結論:業務外の犯罪でも、会社に具体的な影響があれば懲戒処分は可能

労働契約は従業員の私生活にまで及ばないため、
私生活上の非行を理由として当然に懲戒処分ができるわけではありません。

しかし、次の場合には懲戒処分が認められる可能性があります。

✔ 就業規則で懲戒事由として規定されている

✔ 会社の名誉・信用を毀損した

✔ 業務に直接支障を与えた

✔ 社会的非難が大きく会社に悪影響を及ぼした

✔ 従業員の職種や地位からみて重大な信頼失墜がある

最高裁(日本鋼管事件)でも、
「私生活上の非行は原則自由だが、企業の社会的評価に重大な影響を及ぼす場合は処分可能」
と示されています。

1. 飲酒運転は懲戒処分の対象となりやすい理由

飲酒運転は刑事罰だけでなく社会的な批判も強く、
企業の信用失墜につながる行為として 懲戒処分の対象になりやすい 典型例です。

特に以下の場合は処分が重くなる傾向があります。

✔ 業務で運転を伴う職種(営業、配送、建設現場など)

✔ 管理職・役職者としての模範性が問われる立場

✔ 事故・逮捕など公に報道された場合

✔ 社名や制服、社用車がニュースに映った場合

企業イメージの失墜につながけば、
業務外でも懲戒対象となる可能性が極めて高い といえます。


2. 実務で使える「判断ポイント」

懲戒処分を検討する際は、以下の項目を総合的に判断します。


✔ ① 就業規則の懲戒事由に該当するか

例:

  • 社会的信用を損なう行為
  • 会社の名誉を毀損する行為
  • 反社会的行為をしたとき
  • 企業秩序を乱したとき

※ 就業規則の規定が不十分な場合は、法的リスクが高い


✔ ② 会社への影響の程度

  • 報道され社名が公表された
  • 顧客から問い合わせや苦情が来た
  • 社内外の信頼が低下した
  • 業務が遂行できない状態になった

✔ ③ 行為の悪質性・故意性

  • 酒気帯びか酒酔いか
  • 事故の有無・被害の程度
  • 過去の注意歴や前科

✔ ④ 従業員の職種・立場

  • 運転が主業務の従業員
  • 役職者(部下への影響が大きい)
  • 顧客と直接関わるポジション

3. 【実例で解説】懲戒処分の可否と適切な対応


◆ 事例①:営業社員が休日に飲酒運転で逮捕

状況

  • ニュースで「A社の営業社員」と報道
  • 社用車ではなかったが、氏名から勤務先が判明
  • SNSでも批判が拡散

判断
→ 会社の社会的信用を大きく毀損
→ 懲戒処分(出勤停止・降格・場合によっては懲戒解雇)を検討可能


◆ 事例②:介護職員が万引きで警察沙汰に

状況

  • 業務外のスーパーでの軽微な事件
  • 報道なし
  • 施設名は特定されず
  • 本人は深く反省し、業務への影響もなし

判断
→ 軽微かつ施設への影響が小さい
→ 厳重注意・指導に留める
→ 懲戒処分は慎重に判断すべきケース


◆ 事例③:ドライバーが社用車で飲酒運転事故

状況

  • 社用車で事故
  • 保険対応・損害発生
  • 業務に直接支障
  • 明らかに会社に重大な損害

判断
→ 重大な業務上非行
→ 懲戒解雇も含め厳しい処分が適正
→ 安全配慮義務に関わるため、会社の対応必須


4. 懲戒処分を行う際の注意点(重要)


✔ ① 就業規則の手続き通りに進める

懲戒の手続き(弁明の機会付与など)を怠ると無効になる可能性。


✔ ② 他の従業員の処分との均衡をとる

過去に同様の事件で軽い処分だったのに、今回だけ重い処分をすると不当と判断される恐れ。


✔ ③ 処分内容は“必要かつ相当”であること

「懲戒権の濫用」が禁止されている(労働契約法15条)。
行為に比して重すぎれば無効になる可能性が高い。


✔ ④ 事実調査を丁寧に行う

  • 本人の聴取
  • 事実確認
  • 反省の程度
  • 業務への影響
  • 社会的反応(報道の有無)

5. まとめ:業務外の犯罪でも“会社に影響があれば”懲戒処分は可能

改めてポイントを整理すると:

  • 私生活上の非行に会社は介入できない(原則)
  • しかし会社に影響する場合は懲戒処分が認められる
  • 特に飲酒運転は企業イメージを損なう行為として重い処分の対象
  • 就業規則の整備・手続き遵守が必須
  • 処分は「慎重かつ適正に」判断することが重要

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