~休み明けに心と体を整える方法をわかりやすく解説~|ひらおか社会保険労務士事務所
長期休暇明けは、「仕事に戻らなきゃ」と頭では分かっていても、体がついてこなかったり、気持ちが重くなったりするものです。
これは決して “やる気がない” のではなく、心と体が日常リズムに戻ろうと調整している自然な反応です。
今回の記事では、従業員自身が整えるための 「セルフケア」 と、上司が部下を支える 「ラインケア」 の2つを、資料に基づき分かりやすく解説します。
1. 自分でできる「セルフケア」
(資料1ページ目より)
セルフケアとは、自分自身の心と体の健康を自ら気遣い、維持・管理することです。
休み明けは、ちょっとした工夫でずいぶんラクになります。
▼ 体の調子を整えるポイント
① 朝日を浴びる
起床後すぐに太陽の光を浴びると 体内時計がリセット され、スムーズに活動モードへ。
② 朝食をとる
脳と体にエネルギーを補給し、1日のリズムが整います。
③ 体を動かす
ストレッチ・軽い散歩は血流が良くなり、気分もスッキリ。
④ 睡眠リズムを整える
連休最終日は 普段通りの時間に就寝 すると翌朝がラクになります。
▼ 心の調子を整えるポイント
① ハードルを下げる
初日から100%を目指さず、「70%できればOK」 と考えて気持ちの負担を軽くします。
② タスクを書き出す
「何から始めよう…」を防ぎ、仕事モードに入りやすくなります。
③ 小さな楽しみを作る
「帰ったら好きなスイーツを食べる」など、ご褒美を用意しておくのが効果的。
④ 気持ちを書き出す
モヤモヤを紙に書くことで、気持ちが整理されやすいです。
▼ 不調が続くときは無理をしない
資料でも強調されている通り、心身の不調が続く場合は早めに専門家へ相談しましょう。
2. 上司が行う「ラインケア」
(資料2ページ目より)
ラインケアとは、職場の上司が部下の心身の健康を気遣い、早期対応することです。
休み明けの不調は、単なる“やる気の問題”ではありません。
上司のサポートによって、部下の不調を早期にキャッチでき、メンタル不調の予防につながります。
▼ 部下への接し方(3つの基本)
① 小さな変化に気付く
- 表情が暗い
- ミスが増えた
- いつもより口数が少ない
など、ささいな変化にアンテナを張ることが大切です。
② 声掛けと傾聴
「最近どう?」といった軽い声掛けからスタート。
アドバイスよりも 否定せずに聴く姿勢 が、信頼関係につながります。
③ 日頃から相談しやすい関係をつくる
普段から声掛けをすることで、困ったときに相談しやすくなります。
▼ 職場環境を整える(上司の重要な役割)
● 業務量の調整
仕事量の過大・過小はストレスの原因。個々の状況に応じた調整を。
● 役割・責任の明確化
責任に見合った裁量・評価が得られる環境を整えることが、心理的安全性につながります。
● 良好な人間関係の促進
「ありがとう」「助かるよ」など、小さな承認 が職場の雰囲気を大きく変えます。
▼ 専門家への「橋渡し」もラインケア
資料にもあるように、ラインケアは「上司が治す」ことではありません。
不調が続く部下を見守りつつ、必要に応じて 産業医・保健師・人事窓口へつなぐことが重要です。
3. 【実務でよくある事例と対応ポイント】
❖ 事例①:休み明けに遅刻・ミスが増えた部下
▶ 想定される状態
心身がまだ仕事モードに切り替わっていないだけの可能性が高い。
▶ 上司の対応
- 責めない
- 「最近どう?眠れてる?」などの声掛け
- 業務量を一時的に軽減
心理的安全性が確保されると、スムーズにパフォーマンスが戻りやすくなります。
❖ 事例②:タスクが手につかず焦りを感じる従業員
(セルフケアの典型例)
▶ 推奨される行動
- タスクを書き出して優先順位をつける
- 70%主義で気持ちの負担を減らす
- 小さな行動からスタート(メール1本・整理整頓など)
資料のセルフケア方法が特に有効です。
❖ 事例③:休み明けから2週間たっても不調が続く
▶ 対応
- 上司のラインケア:傾聴・観察
- 産業医・社内窓口へ早めに橋渡し
- 無理をさせず業務調整
「長期化」が見られる場合、専門家対応が必要なケースもあります。
▼ まとめ
- セルフケア:従業員が心と体を整えるための基本行動
- ラインケア:上司が部下の変化に気付き、相談しやすい環境をつくる
- 双方が機能することが、職場の健康づくりにつながる
休み明けの不調は誰にでも起こるもの。
企業全体で“整える仕組み”をつくることが、生産性向上にも直結します。