労務管理

【要確認】賃金控除に関する労使協定、締結していますか?/ひらおか社会保険労務士事務所

― 食事代・親睦会費を給与から引いていませんか ―

経営者の皆さまへ

毎月の給与計算で、次のような控除をしていませんか?

  • 社員食堂の 食事代
  • 親睦会費
  • 駐車場代
  • 社内商品購入代金
  • 会社貸付金の分割返済分

実はこれら、
源泉所得税や社会保険料とは違い、
「原則として勝手に控除できないもの」
です。

知らずに控除していると、
労働基準法違反 になる可能性があります。


1.賃金は「全額払い」が原則です

労働基準法第24条では、賃金について次の原則が定められています。

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない

つまり、
法律で認められているもの以外は、
原則として賃金から差し引いてはいけません


2.賃金から控除できるものは「限定的」

賃金から控除できるのは、次のいずれかに該当する場合のみです。

① 法令で認められているもの

  • 所得税・住民税(源泉徴収)
  • 健康保険料・厚生年金保険料
  • 雇用保険料 など

② 労使協定がある「事理明白なもの」

  • 寮費
  • 組合費
  • 食事代
  • 駐車場代
  • 親睦会費
  • 社内商品購入代金
  • 会社貸付金の割賦返済金 など

👉 ここで重要なのが「労使協定」 です。


3.「賃金控除に関する労使協定」が必要なケース

次のうち ひとつでも当てはまる場合
賃金控除に関する労使協定の締結が必要 です。

  • 給与から食事代を引いている
  • 親睦会費を天引きしている
  • 駐車場代を給与から控除している
  • 社内販売品の代金を給与控除している

※ 協定がなければ、違法控除 となります。


4.【実務事例】よくあるトラブル

事例:親睦会費を当然のように控除していたケース

  • 長年、給与から毎月1,000円を親睦会費として控除
  • 労使協定は未締結
  • 退職者から「違法では?」と指摘

👉 労基署に相談され、
是正指導+過去分の返還 が必要に。

「少額だから大丈夫」
「昔からやっている」
通用しません


5.労使協定書のポイント(記載例あり)

賃金控除に関する労使協定書には、次の事項を記載します。

  • 控除できる項目(例:寮費、親睦会費など)
  • 協定の有効期間
  • 使用者・労働者代表の署名押印

👉 労働基準監督署への届出は不要
👉 ただし、従業員への周知は必須 です。


6.経営者が押さえるべき実務ポイント

  • 賃金控除は「例外」である
  • 源泉徴収・社会保険料以外は要注意
  • 労使協定があっても「何でも控除OK」ではない
  • 実態が「事理明白」であるかを確認
  • 年に1回は賃金控除項目を総点検

根拠法令・参考情報

参考・ダウンロード
神奈川労働局
相模原労働基準監督署からのお知らせ
https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-roudoukyoku/news_topics/kantokusho_oshirase/sagamihara.html

不安があれば専門家にご相談ください

賃金控除は、
「気づいたときには違法状態だった」
というケースが非常に多い分野です。

顧問社労士がいない、
制度を一度も見直していない場合は、
早めの確認をおすすめします。

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