労務管理

【要確認】雇用保険料率が変更になった場合/ひらおか社会保険労務士事務所

何月分の給与計算から料率を変更すればよいですか?

毎年4月になると、
「雇用保険料率は、いつの給与から変えるのが正解ですか?」
というご質問を多くいただきます。

結論から申し上げると、
雇用保険料率は、給与の「締日」と「支払日」によって、変更するタイミングが異なります。

誤った月から適用してしまうと、
従業員負担額の過不足や、後日の修正対応が必要になることもあります。

今回は、実務で迷わない考え方を分かりやすく解説します。


雇用保険料率の基本ルール

雇用保険料率は、
原則として毎年4月1日に改定されます。

ここで重要なのは、
👉 「支払日」ではなく「賃金が発生した期間」で判断する
という点です。

そのため、給与計算では
どの期間の賃金か(締日)
を基準に、適用する料率を決めます。


【ケース①】月末締の場合

● 月末締・翌月払いの会社

(例:4月末締/5月15日支払)

この場合は、

  • 4月1日以降に発生した賃金
    → 新しい雇用保険料率を適用

となるため、

👉 4月末締の給与
👉 5月15日支給の給与

から、料率を変更するのが一般的です。

📌 ポイント

  • 「5月支給だから」ではなく
  • 「4月分の賃金だから」変更

と考えると分かりやすくなります。


【ケース②】月末締以外の場合

● 例:3月20日締/4月10日支払

この場合、4月10日支給の給与には、

  • 3月21日~3月31日分
  • 4月1日~4月10日分

が混在します。

実務上は、細かく日割り計算せず、

👉 4月支給の給与から新料率に切り替える

という運用が一般的です。


実務でよくある判断基準(まとめ)

給与形態料率変更のタイミング
月末締・翌月払い4月末締の給与から
月末締以外4月支給の給与から

👉 「締日が4月をまたぐかどうか」
が、判断のカギになります。


【事例】料率変更のタイミングを誤ったケース

事例
月末締・翌月払いの会社で、
「4月支給だから」という理由で、
3月末締・4月15日支給の給与から新料率を適用してしまいました。

結果として、

  • 本来は旧料率で計算すべき給与
  • 従業員からの控除額が過大
  • 後日、差額精算が必要に

👉 従業員への説明・再計算の手間が発生しました。

教訓

  • 支払日だけで判断しない
  • 「どの期間の賃金か」を必ず確認する

経営者の方へ(実務上の注意点)

  • 毎年3月末~4月は設定変更を必ず確認
  • 給与ソフトの自動更新に任せきりにしない
  • 賃金締日と料率適用の関係を整理しておく
  • 不安な場合は事前に専門家へ相談する

雇用保険料率の誤りは、
小さな金額でも積み重なるとトラブルになりやすい分野です。


根拠法令・参考情報

  • 雇用保険法
  • 厚生労働省「雇用保険料率について」

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