労務管理

パート・アルバイトにも「育児時間」は必要?

― 所定労働時間が短い場合の正しい対応 ―
(ひらおか社会保険労務士事務所)

「短時間のパートさんにも、育児時間って必要なの?」
「1日4時間くらいしか働いていない場合も与えなければならない?」

育児時間については、正社員向けの制度だと誤解されやすいのが実情です。
しかし、実際には パート・アルバイトであっても対象になるケースがあります。

今回は、経営者の方向けに
育児時間の制度内容と、短時間勤務者への実務対応をわかりやすく解説します。


1.育児時間とはどのような制度ですか?

育児時間とは、
1歳に達しない子どもを養育する女性従業員が、
休憩時間とは別に 子どもの養育のために取得できる時間です。

制度の基本ルール

  • 対象:1歳未満の子を養育する 女性従業員
  • 取得回数:1日2回
  • 取得時間:1回につき30分以上
  • 休憩時間とは別枠
  • 本人が希望した場合、会社は拒否できない

雇用形態(正社員・パート・アルバイト)による区別はありません。


2.所定労働時間が短い場合も育児時間は必要?

結論:必要です。

1日の所定労働時間が短いパート・アルバイトであっても、
本人が希望する場合には、育児時間を取得させる必要があります。

ただし、所定労働時間によって回数が異なります。


3.【重要】所定労働時間による違い

▶ 所定労働時間が「4時間超」の場合

  • 1日2回
  • 各30分以上

正社員と同じ扱いです。


▶ 所定労働時間が「4時間以内」の場合

  • 1日1回のみでOK
  • 30分以上

短時間勤務の場合は、
育児時間が1回に軽減される点がポイントです。


4.育児時間は有給ですか?無給ですか?

育児時間中の賃金については、
法律上の定めはありません。

つまり、

  • 有給にするか
  • 無給にするか

は、会社が自由に決めることができます。

ただし、以下の点には注意が必要です。

  • 就業規則や賃金規程での定めがあるか
  • 実務上、他の従業員とのバランス
  • 労使トラブルにならない説明ができるか

5.【事例】実務でよくあるケース

✅ 事例①:4時間勤務のパート従業員の場合

  • 所定労働時間:1日4時間
  • 子ども:生後8か月
  • 本人から育児時間の申出あり

👉 1日1回・30分の育児時間を付与
👉 無給扱い(就業規則に明記)

適正な対応です。


❌ 事例②:「短時間だから不要」と判断してしまったケース

  • パート勤務:1日5時間
  • 育児時間の申出を却下

👉 労働基準法違反となる可能性
👉 是正指導・トラブルのリスクあり


6.経営者が実務で注意すべきポイント

✔ 雇用形態で判断していないか
✔ 所定労働時間を正しく把握しているか
✔ 本人の「取得希望」を無視していないか
✔ 有給・無給の扱いを社内ルールで明確にしているか

育児時間は、
「短時間だから配慮しなくていい」制度ではありません。


7.まとめ|育児時間は「拒否できない制度」です

育児時間は、

  • 女性従業員が希望すれば
  • パート・アルバイトであっても
  • 条件に応じて必ず付与が必要

という 義務的な制度です。

特に、

  • 小規模事業所
  • 医療・介護・サービス業
  • パート比率が高い職場

では、誤った運用が起こりやすいため注意が必要です。


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現場実務に即したアドバイスと、トラブルを防ぐ制度設計を大切にしています。

根拠法令・参考情報

  • 労働基準法 第67条(育児時間)
  • 昭和36年1月9日 基収8996号