労務管理

育児休業から復職後すぐに会社都合で休業

平均賃金はどう計算する?
(ひらおか社会保険労務士事務所)

「育児休業から戻ってきた従業員を、復職3日目に会社都合で休業させることになった」
「休業手当を支払う必要があるのは分かるが、平均賃金はどこを基準に計算するの?

このようなケースは、
育児休業明け+休業手当が重なるため、実務で非常に判断が難しくなります。

今回は、経営者の方向けに
育児休業から復職した直後の平均賃金の考え方を、具体例を交えて解説します。

1.まず押さえる基本ルール

会社都合で従業員を休業させる場合、
労働基準法第26条により、

平均賃金の60%以上の休業手当

を支払う必要があります。

そのため、問題となるのは
👉 「平均賃金をどう計算するか」
という点です。


2.平均賃金の原則的な計算方法

平均賃金は、原則として次の算式で計算します。

直近の賃金締切日以前3か月間の賃金総額 ÷ その期間の総暦日数

ただし、ここで重要なのが
育児休業期間は「平均賃金の算定期間から除外される」
という点です。


3.育児休業期間は「除外」される

労働基準法では、

  • 育児休業期間
  • 産前産後休業期間

は、
👉 平均賃金の算定期間の日数・賃金の双方から除外する
と定められています。

そのため、
復職直後に休業が発生した場合、通常の3か月遡りでは計算できない
ケースが生じます。


4.復職3日目の場合の考え方【2つのパターン】

復職後3日目に会社都合で休業させる場合、
復職後に賃金締切日を迎えているかどうかで、計算方法が異なります。


① 復職後に「賃金締切日を迎えていない」場合

この場合、
直前の賃金締切日から遡った3か月間は、
すべて育児休業期間となります。

そのため、特例として
👉 育児休業開始前の直近3か月間まで遡って計算します。

計算式

平均賃金 =育児休業開始前3か月間の賃金総額 ÷育児休業開始前3か月間の総暦日数

② 復職後に「賃金締切日を迎えている」場合

復職後に賃金締切日を1回でも迎えていれば、

  • 直前の賃金締切日から遡った3か月のうち
  • 育児休業期間を除外し
  • 復職日~賃金締切日までの期間

を用いて計算します。

計算式

平均賃金 =復職日から直前の賃金締切日までの賃金総額 ÷同期間の総暦日数

5.【注意】時給制・日給制の場合の「最低保障」

賃金体系が

  • 時給制
  • 日給制

の場合、上記で算出した平均賃金が
最低保障額を下回るときは、最低保障額を使用します。

最低保障額の計算

復職日から直前の賃金締切日までの賃金総額 ÷同期間の実労働日数 × 60%

実務では、
👉 平均賃金と最低保障額の両方を計算し、高い方を採用
するのが安全です。


6.【事例】実務でよくあるケース

事例①:復職3日目・締切日前のケース

  • 育児休業:6か月
  • 復職日:4月10日
  • 賃金締切日:毎月末
  • 4月13日から会社都合で休業

👉 復職後に賃金締切日を迎えていない
👉 育児休業開始前の3か月間を基準に平均賃金を算定


事例②:復職後に締切日を迎えているケース

  • 復職日:4月1日
  • 賃金締切日:4月15日
  • 4月18日から会社都合で休業

👉 復職日~4月15日までの賃金・日数を使用
👉 育児休業期間は完全に除外


7.経営者が実務で注意すべきポイント

✔ 育児休業期間は算定から除外する
✔ 「復職後に賃金締切日を迎えたか」で分岐する
✔ 時給制・日給制は最低保障の確認が必須
✔ 計算根拠を説明できるようにしておく

平均賃金の計算を誤ると、
👉 休業手当の不足
👉 労基署是正指導
👉 従業員トラブル

につながるおそれがあります。


8.まとめ|復職直後の平均賃金は「慎重な判断」が必要

育児休業から復職した直後の休業手当は、

  • 通常の平均賃金計算が使えない
  • 賃金締切日との関係で計算方法が分かれる

という点で、非常に実務難易度が高い分野です。

迷った場合は、
早めに専門家へ確認することが、トラブル防止の近道です。


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根拠法令・参考情報

  • 労働基準法 第12条(平均賃金)
  • 労働基準法 第26条(休業手当)
  • 労働基準法施行規則 第4条
  • 厚生労働省「休業手当(平均賃金の60%以上)の計算方法」
  • 兵庫労働局「平均賃金とは」