件数22,354件・対象労働者185,197人(厚労省公表)
2025/08/07|行政資料・リーフレット|調査・統計
厚生労働省は「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和6年)」を公表しました(2025年8月7日公表)。
今年の監督指導のポイントは以下のとおりです。
監督指導の概要(令和6年)
- 賃金不払事案の件数:22,354件(前年比+1,005件)
- 対象労働者数:185,197人(同+3,294人)
- 不払金額:172億1,113万円(同+70億1,760万円)
- 指導により解決:21,495件/181,177人/162億732万円(解決率9割超)
※あわせて公表された別紙では、商業・製造業・保健衛生業・接客娯楽業が件数上位でした。
詳細はこちら
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_60431.html
よくある賃金不払のパターン
- 固定残業代の運用誤り(超過分未払い・明細に内訳未記載)
- 割増賃金の計算漏れ(深夜・休日・時間外の複合計算抜け)
- 締め日と支払日のズレによる計上漏れ
- 休業手当の未払い(シフト減少時の6割支給忘れ)
- 歩合給・出来高払の違法控除(全額払い原則違反)
モデル事例(匿名)
事例1:固定残業30時間込みだが超過分未払い
- 状況:営業職に「基本給+固定残業30h」を設定。繁忙期は毎月50h程度の時間外。
- 問題:超過20h分と深夜割増を未払い。
- 対応:勤怠を遡及集計し未払い分+遅延損害金を支給。雇用契約・就業規則も改訂。
事例2:締め日設計ミスで残業計上漏れ
- 状況:月末締め・翌月25日払い。月末の残業が翌々月扱いに。
- 対応:締め日を15日に変更し、計上漏れを防止。
事例3:夜勤割増の二重計算漏れ
- 状況:夜勤に時間外+深夜労働が混在。
- 対応:勤怠区分を細分化し、割増計算の網羅性を確保。
実務チェックリスト
- 固定残業の上限・清算方法を契約書に明記
- 36協定と現場運用が一致しているか確認
- 勤怠は実労働時間ベースで集計(所定外/法定外/深夜/休日の区分)
- 締め日と支払日のカットオーバー設計を見直す
- 賃金台帳に割増の内訳表示を徹底
- 休業時は休業手当(平均賃金の60%以上)の要否を判断
- 年1回は外部専門家による未払い監査を実施
まとめ
賃金不払は、労務トラブルや行政指導に直結する大きなリスクです。
日々の勤怠管理や契約内容の見直しで、発生を未然に防ぐことが可能です。
消滅時効は改正により賃金請求3年(当分の間)に延長されています。
証拠の残る形での勤怠管理と賃金計算が重要です。
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