労務管理

改善基準告示違反や荷待ちに関する罰則・指導のポイント

トラック運送業界では、ドライバーの労働時間管理や荷待ち時間の削減が大きな課題となっています。
2024年4月から適用された改善基準告示(自動車運転者の労働時間等の基準)について、違反した場合にどうなるのか、また荷主企業が関与した場合の対応について整理します。

① 改善基準告示に違反した場合の罰則・指導

改善基準告示は、厚生労働大臣告示であり、法律そのものではありません。そのため、直接の罰則規定はありません。

しかし、労働基準監督署の監督指導で違反が認められた場合には、是正勧告や指導が行われます。
その際は、事業場が自主的に改善できるよう、丁寧な対応を行うことが基本です。

また、道路運送法や貨物自動車運送事業法の運行管理規定に重大な違反が疑われるときは、地方運輸局に通報されることもあります。

事例

ある運送会社では、ドライバーに休憩を十分に取らせず、拘束時間が改善基準を超えていました。
労働基準監督署の調査で違反が発覚し、会社は「労働時間管理簿の整備」と「運行スケジュールの見直し」を指導されました。
罰則はありませんが、是正を怠れば行政処分や取引先からの信用低下につながる可能性があります。

② 荷主企業による長時間荷待ちと罰則・指導

荷主企業がトラックドライバーに長時間の荷待ちをさせること自体は、労働基準関係法令の違反には当たりません

しかし、荷待ちが恒常化し、それが原因で運送事業者が改善基準告示に違反していると疑われる場合、労働基準監督署は荷主等に対して
荷待ち時間を発生させないよう努めること」などを要請します。

事例

ある食品メーカーの倉庫では、搬入の際にトラックが毎回2時間以上待たされていました。
この荷待ちが原因でドライバーの拘束時間が延び、改善基準告示違反が疑われる事態に。
労働基準監督署は運送会社への指導とあわせて、荷主企業にも「入庫予約システムの導入」や「荷役作業の効率化」を要請しました。

まとめ

  • 改善基準告示違反に罰則はないが、労基署の是正指導や地方運輸局への通報対象となる場合がある
  • 荷主による長時間荷待ちは法律違反ではないが、労基署から是正要請を受ける可能性がある
  • 運送会社・荷主双方が協力して、労働環境の改善を進めることが求められる

📌 参考リンク
厚生労働省|改善基準告示(令和6年4月1日適用)に関するQ&A(令和7年3月11日追補)

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