2025/09/09 労務管理・働き方改革
テレワークは柔軟な働き方を実現する有効な手段ですが、導入には慎重な準備が必要です。
「とりあえず在宅勤務を許可する」だけでは、労務トラブルや業務効率の低下を招く可能性があります。
ここでは、テレワークを導入する際に企業が行うべき事前対応のポイントを整理し、実務での事例も紹介します。
1. 会社全体の目的・方針を明確化する
- 経営層が目的と方針を示すことで従業員の意識改革にもつながります。
- 「人材定着」「生産性向上」「多様な働き方の実現」など、導入目的を社内で共有しましょう
2. 社内ルールを整備する
- 対象業務・対象者の範囲を明確化
- 業務遂行に関するルール、費用負担のルールを決定
- 必要に応じて労使協定の締結、就業規則の改定・届出も必要です
3. 労働条件を変更する際の同意
- テレワークは「就業場所の変更」にあたり、労働条件の変更が生じます。
- 従業員の同意を得た上で労働条件通知書などを交付し、トラブル防止を図ることが重要です
4. 情報通信環境とセキュリティ対策
- ICT環境の整備は必須。VPNやセキュリティソフトの導入も検討しましょう。
- 在宅勤務では情報漏えいリスクが高まるため、万全なセキュリティ体制が求められます
5. 教育・研修の実施
- テレワークを行う従業員だけでなく、上司や同僚も含めた全体研修が望ましいです。
- 「なぜ導入するのか」という目的を理解することで、社内の共通認識を醸成できます
6. 勤怠管理・労務管理の整備
- 勤怠管理システムの設定変更が必要になる場合があります。
- 労働時間の適正把握、休憩や残業の管理を徹底することで、労基法違反を防止できます
事例:中小企業での導入ケース
ある製造業A社では、営業職にテレワークを導入しました。
- 事前に行った対応
- 就業規則に「テレワーク勤務規程」を追加
- 情報セキュリティ研修を実施
- 勤怠管理システムに「テレワーク勤務区分」を新設
- 導入後の効果
- 営業担当者の移動時間が削減され、顧客対応時間が増加
- 働き方の柔軟性が高まり、離職率が改善
このように、適切な準備を行うことで、企業にも従業員にもメリットのある仕組みを構築できます。
まとめ
- テレワーク導入には、目的・ルール・労務管理・セキュリティの事前整備が不可欠
- 社員教育や制度設計を通じて、社内の共通認識を作ることが成功の鍵
- 小さくテスト運用を行い、改善を重ねて本格導入に進めるのが望ましい
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