病気やケガで仕事を休んだときに生活を支える制度が「傷病手当金」です。
ただし、申請書に記入不備があると返戻(差し戻し)となり、給付が遅れてしまうケースが少なくありません。
今回は、返戻の多い項目や記入の注意点を中心に、申請書作成時のポイントを整理しました。
1. 被保険者(申請者)の情報と口座欄
- 氏名は健康保険に登録されているフリガナで記入。
- 口座名義と氏名が異なる場合(旧姓・通称名など)は、運転免許証や通帳コピーを添付する必要があります。
- 振込先は原則として本人名義の口座。事業所名義は不可傷病手当金申請書の記入ポイント。
👉 事例:旧姓のまま口座を利用していたが、書類に新姓を記入して返戻になったケース。 → 口座と本人確認書類の両方を添付していれば防げました。
2. 申請内容欄
- 申請期間(休んだ期間)と傷病名のチェック☑は必須。記入漏れは返戻第1位です。
- 傷病の原因は原則「1. 仕事中以外」を選択。業務起因性がある場合のみ「2.仕事中」を選びます。
- 労災申請中の場合も申請できますが、認定された場合は後日返納が必要です傷病手当金申請書の記入ポイント。
👉 事例:業務外の発症であるにもかかわらず「仕事中」にチェックして返戻。 → 労基署への確認を経て「1.仕事中以外」で申請すべきでした。
3. 事業主証明欄
- 年月欄は必ず記入(出勤や給与がゼロでも必要)。返戻第3位の理由です。
- 勤務状況は「〇(出勤)」「早(早退)」のみ。記号(△・/)などは不可。
- 賃金支給状況欄には、休んだ日に対して支給があった場合のみ記入。0円の場合は空欄で提出します。
👉 事例:有給や通勤手当を記入せず提出し返戻。 → 申請期間に一部でも含まれる手当は全て記載が必要です傷病手当金申請書の記入ポイント。
4. 療養担当者(医師)記入欄
- 患者氏名は必ずカタカナで記載。
- 初診日が複数ある場合は並列で記載。
- 医師の証明日は、労務不能と認めた期間の終了日以降の日付でなければ返戻対象になります傷病手当金申請書の記入ポイント。
5. 返戻が多い項目ランキング
協会けんぽの資料によると、返戻理由の多い項目は次のとおりです傷病手当金申請書の記入ポイント:
- 傷病名チェック漏れ(全体の17.4%)
- 傷病原因の誤記入(15.1%)
- 事業主証明欄の年月未記入(13.2%)
- 報酬欄の誤記入(8.5%)
まとめ
傷病手当金申請書は、「申請者」「事業主」「医師」の三者が関わるため、不備が起こりやすい書類です。
提出前に必ず以下をチェックしましょう:
- 氏名・口座名義は一致しているか
- 申請期間・傷病名・原因のチェックは漏れていないか
- 事業主証明欄の年月・手当の記載は正しいか
- 医師の証明日は労務不能期間以降になっているか
これらを押さえることで、返戻を防ぎ、スムーズに給付を受けることができます。
👉 協会けんぽ大阪支部「傷病手当金申請書の記載にあたっての注意事項」公式資料はこちら