~法改正ポイントと年間の注意点を整理~
1. なぜ「実務カレンダー」が必要か?
人事労務担当者の業務は、給与計算や社会保険手続きといった毎月の定例業務に加え、年に数回発生する届出や法改正対応など多岐にわたります。
抜け漏れを防ぐためには、年間スケジュールを把握し、段取りよく業務を進めること が欠かせません。
2. 月別の主な業務と改正ポイント
以下は2025年に押さえておきたい主な業務です。
- 1月
法定調書・給与支払報告書の提出、労働保険料第3期の納付。
👉 提出期限はいずれも 1月31日(金)。年末調整の後処理を忘れずに。 - 3月
- 健康保険料率・介護保険料率の改定(3月分保険料から反映)。給与システムの更新が必要。
- 4月
- 雇用保険料率の改定、新入社員の入社手続き、定期健康診断の実施。
- 6月~7月
- 労働保険の年度更新(6/2~7/10)、算定基礎届の提出(7/10締切)。
- 住民税の更新もこの時期に行います。
- 9月
- 定時決定による社会保険料の改定が反映開始。給与天引き額の変動に注意。
- 10月
- 地域別最低賃金の改定。対象者がいる場合は給与改定が必須です。
- 12月
年末調整、ストレスチェック(従業員50人以上で義務)。
3. 2025年の法改正で注目すべき点
2025年は労務関連で複数の重要な改正があります。
- 育児介護休業法の改正(4月施行)
出生後休業支援給付金の創設や、育児時短就業給付金の導入。 - 障害者雇用率関連
除外率引下げに伴い、雇用状況報告の対象が広がります。 - 労働安全衛生法関係
一部の手続が電子申請義務化。 - 高年齢者雇用
65歳までの雇用確保が完全義務化。
4. 実務に役立つ事例
事例①:算定基礎届の提出漏れ
ある企業では、担当者が異動した際に算定基礎届のスケジュールを把握できておらず、提出が遅れてしまいました。結果、社会保険事務所から督促を受け、信頼低下につながる事態に。
👉 年度更新や算定基礎届は「人が変わっても確実に引き継げる仕組み」を作ることが大切です。
事例②:最低賃金改定への対応不足
飲食店を営む企業で、パートタイマーの時給が最低賃金改定後に未対応のまま放置されていたケースがありました。監督署の是正勧告を受け、遡及して差額を支給する結果に。
👉 毎年10月前後の最低賃金改定は必ず確認し、該当従業員がいないかチェックしましょう。
まとめ
2025年は、育児・介護・高齢者雇用など働き方に直結する法改正が目白押しです。
人事労務担当者は 「月ごとの業務+法改正対応」 をカレンダーで見える化して、抜け漏れ防止と効率化を図ることが重要です。
👉 年間スケジュールの整備や法改正対応に不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。