こんにちは、ひらおか社会保険労務士事務所です。
令和7年6月11日に、厚生労働省から「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律」についての通達(基発0611第1号/雇均発0611第1号)が発出されました。
今回の改正は、カスタマーハラスメント防止や女性活躍推進、男女間の賃金差異の情報公開など、企業にとって実務上重要な対応が求められる内容が含まれています。以下でポイントを整理します。
1. カスタマーハラスメント防止措置の義務化
顧客や取引先の言動が社会通念上許容される範囲を超え、労働者の就業環境を害する場合、事業主は以下の措置を講じる必要があります。
- 相談窓口や対応体制の整備
- 抑止や防止のための社内ルール策定
- 被害申告を理由とする不利益取扱いの禁止
事例:飲食店でのケース
お客様からの過度なクレームや威圧的な言動が従業員にストレスを与えた場合、事業主は相談窓口での対応やマニュアル整備を行わなければなりません。
2. 求職者へのセクシュアルハラスメント防止
採用活動中の面接や職場見学の場面で、従業員が求職者に対して不適切な性的言動を行うことを防止するための体制整備が義務づけられました。
事例:面接時のケース
面接担当者が外見や年齢に関して不適切な質問をした場合、事業主は研修やマニュアルで未然に防ぐ仕組みを整えておく必要があります。
3. 治療と仕事の両立支援
疾病やケガで治療を受けながら働く従業員に対し、事業主は相談に応じ、両立を支援する体制整備に努めることが求められます。
これは労働安全衛生法上の指針とも連動しており、治療中の労働者に配慮した働き方が必要です。
4. 女性活躍推進法の改正
- プラチナえるぼし認定要件の追加
- 情報公表義務の拡大:従業員101人以上の企業は、2026年4月1日から以下の情報を公表しなければなりません。
- 男女の賃金差異
- 女性管理職比率
事例:製造業(従業員150名)のケース
自社HPに女性管理職の比率や男女間賃金差異を掲載し、採用広報資料にも盛り込む必要があります。
まとめ
今回の改正は「ハラスメント防止」「治療と就業の両立」「女性活躍推進」という3つの柱に沿った内容で、企業の人事労務担当者にとって非常に実務的な影響があります。
特に従業員101人以上の企業は、情報公表義務が2026年4月からスタートしますので、早めの準備が必要です。
✅ 就業規則や社内規程の整備、研修導入など実務対応にお困りの方は、ぜひご相談ください。