労務管理

年次有給休暇を取ると皆勤手当はもらえない?それって許されるの?

こんにちは。ひらおか社会保険労務士事務所です。

経営者や人事担当者の方からよくあるご相談の一つに、
「有給休暇を取った従業員に、皆勤手当を支給しなくてもいいのか?」
というものがあります。

結論から申し上げますと、年次有給休暇を取得したことを理由に皆勤手当を支給しないのは認められません

法的な根拠

労働基準法附則第136条には以下の規定があります。

使用者は有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしてはならない。

また、厚生労働省や各労働局も以下のように解説しています。

  • 年休を取得した日を「欠勤」として扱うことはできない
  • 精皆勤手当や賞与の算定において、有給休暇取得を理由に不利益を与えてはならない

つまり、有給休暇は「働いた」と同じ扱いにしなければならず、これを理由に皆勤手当をカットすることは違法となる可能性があります。

実務での事例

事例:有給取得を理由に皆勤手当を不支給としたケース

製造業のB社では、就業規則に「1日でも欠勤があれば皆勤手当は不支給」との規定がありました。
ある従業員が子どもの看病で年次有給休暇を1日取得したところ、皆勤手当(5,000円)が支給されませんでした。

従業員から労働基準監督署に相談があり、調査の結果、有給休暇を欠勤扱いにするのは労基法違反と指摘され、是正勧告を受けました。
会社は翌月から規定を修正し、有給休暇を取っても皆勤手当は支給されるよう改善しました。

実務へのポイント

  • 就業規則の皆勤手当規定に「欠勤があれば不支給」とある場合でも、有給休暇は欠勤に含めてはいけない
  • 有給休暇を理由に皆勤手当をカットすると、労基署から是正勧告を受けるリスクがある
  • 規程の整備や運用ルールの見直しを行うことで、トラブルを未然に防ぐことができる

まとめ

有給休暇は法律で保障された労働者の権利です。
その取得を妨げるような取扱い(皆勤手当の不支給など)は、違法となる可能性が高く、会社にとっても大きなリスクになります。

皆勤手当や精勤手当の規程を運用している場合は、必ず有給休暇の扱いを確認・修正しておくことをおすすめします。

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