こんにちは。ひらおか社会保険労務士事務所です。
令和6年改正の育児・介護休業法により、企業には「労働者の子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間」に該当する場合、柔軟な働き方を実現するための個別周知・意向確認を実施する義務があります。
ここでよくいただく質問が、
「第一子が対象年齢にあるが、労働者が第二子の育休を取っている場合でも実施が必要か?」というものです。
法律上の考え方
結論から言えば、第二子の育児休業中であっても、第一子が『3歳の誕生日の1か月前までの1年間』に該当する場合は、個別周知・意向確認を実施する必要があります。
これは、労働者本人の育休取得状況や第二子の年齢にかかわらず、第一子の対象期間に合わせて義務が課されるためです。
実務での工夫
ただし、実際に第二子の育休中である場合には、事業主と労働者がコミュニケーションを取りやすいタイミングを工夫することが推奨されています。
- 第二子の育休開始前
- 第二子が1歳を迎え、原則的な育児休業が終了する直前
- 職場復帰に向けて打ち合わせを行う時期
このような節目に合わせて、第一子に関する「個別周知・意向確認」や「意向聴取・配慮」を一体的に行うのが実務上のポイントです。
実務での事例
事例:第一子が2歳10か月、第二子の育休中のケース
医療業のC社では、女性従業員が第二子の育休を取得中でした。
一方で第一子が「3歳の誕生日の1か月前までの1年間」に該当していたため、人事担当は次のように対応しました。
- 第二子の育休終了直前にオンライン面談を実施
- 第一子に関する柔軟な働き方の意向(短時間勤務・在宅勤務の希望など)を確認
- 第二子の育休明け後の復帰プランと併せて調整
➡ この結果、従業員は安心して復職でき、会社側も業務計画を立てやすくなりました。
実施方法について
厚生労働省Q&Aでは、個別周知・意向確認の方法として以下が認められています。
- 面談(対面またはオンライン)
- 書面の交付(直接手交・郵送)
- FAX送信(労働者が希望した場合)
- 電子メール等の送信(労働者が希望した場合)
企業の実情や労働者の希望に合わせて柔軟に実施できます。
まとめ
- 第一子が「3歳の誕生日の1か月前までの1年間」にある場合、第二子の育休中であっても個別周知・意向確認は必須
- タイミングを工夫し、第二子の育休の節目に合わせて実施するのが実務的
- 面談や書面交付など、柔軟な方法で対応可能
制度理解と適切な運用は、従業員の定着と企業の信頼向上につながります。