2025年度の最低賃金が改定され、全国加重平均額は1,121円となりました。昨年度(1,055円)から 66円の引上げで、目安制度開始以来、過去最高額となっています。
これにより、全都道府県で最低賃金が初めて1,000円を超えることになりました。
1. 最低賃金制度の基本
- 最低賃金は、正社員・パート・アルバイトなど雇用形態を問わず適用されます。
- 雇用契約書の金額が最低賃金を下回っていても、その部分は無効となり、最低賃金額が適用されます。
- 違反した場合は 50万円以下の罰金 が科せられる可能性があります。
2. 最低賃金に含まれる・含まれない手当
最低賃金の計算に含まれるのは 基本給や住宅手当など毎月定額で支払われる賃金 です。
一方で、次のような手当は含まれません:
- 精皆勤手当
- 通勤手当
- 家族手当
- 賞与
- 残業手当・休日手当・深夜手当 など
注意点(実務事例)
A社では「精皆勤手当」を全員一律で支給していました。この場合は実態として基本給の一部と同視されるため、最低賃金に含めて計算しなければなりません。形式的な手当の名称に惑わされず、実態で判断することが重要です。
3. よくある質問(Q&A)
Q1. 最低賃金改定日をまたぐ夜勤はどう計算する?
→ 改定日以降の勤務分から新しい最低賃金を適用します。
(例:9/30の21時~翌5時勤務 → 0時~5時は改定後の賃金を適用)
Q2. 派遣社員は派遣元と派遣先どちらの最低賃金が適用される?
→ 派遣先企業の所在地の最低賃金が適用されます。
Q3. 学生アルバイトも対象ですか?
→ はい、年齢や雇用形態を問わず最低賃金は適用されます(特例許可を除く)
4. 企業が今すぐ対応すべきこと
- 最低賃金を下回る従業員がいないか確認
- 人件費の増加額を試算(賃金引上げに伴い社会保険料・労働保険料も上がる)
- 業務改善助成金など支援策の活用(設備投資や賃金制度改善を行う場合)
まとめ
2025年度の最低賃金改定は、全都道府県で1,000円超えという大きな節目を迎えました。
企業にとっては賃金だけでなく社会保険料や労働保険料にも影響するため、早めの試算と準備が不可欠です。
ひらおか社会保険労務士事務所では、最低賃金対応の確認から助成金の活用までサポート可能です。
👉 無料相談・お問い合わせはこちら