労働基準法では、解雇予告手当・休業手当・労災補償などを計算する際に「平均賃金」を用います。
しかし、実務では どの賃金を含めるのか・どの期間で計算するのか で迷うケースが少なくありません。
この記事では、法令に基づく平均賃金の計算方法と、エクセルシートを使った実務対応のポイントを解説します。
平均賃金とは?
労働基準法第12条に定められており、原則として次の計算式で求めます。
平均賃金 = 算定期間の賃金総額 ÷ 総日数
- 算定期間:原則「直近3か月」
- 総日数:暦日数(休みの日も含む)
- 含める賃金:基本給、各種手当、残業代など(臨時的に支払われた賞与などは含まない)
なお、計算結果が「最低保障額(直前3か月の賃金総額 ÷ 労働日数 × 60%)」を下回る場合には、最低保障額を適用します。
シートを活用した実務手順
今回の「平均賃金計算シート」では、以下の項目を入力するだけで自動計算できます。
- 算定期間(月単位)
- 総日数(暦日数)
- 労働日数
- 基本給や手当(通勤手当など含む)
→ 入力すると、自動的に「平均賃金」が算出されます。
事例①:解雇予告手当の計算
従業員を即日解雇する場合、労働基準法第20条により 平均賃金の30日分 を支払う必要があります。
例
- 直近3か月の総賃金:66万円
- 総日数:91日
👉 平均賃金 = 660,000 ÷ 91 ≒ 7,253円
👉 解雇予告手当 = 7,253円 × 30日 = 217,590円
事例②:休業手当の計算
会社都合で従業員を休業させた場合、労働基準法第26条により 平均賃金の60%以上 を支払わなければなりません。
例
- 平均賃金:7,253円
- 休業日数:5日
👉 休業手当 = 7,253円 × 0.6 × 5日 = 21,759円
実務での注意点
- 賞与・臨時の見舞金などは含めない
- 欠勤控除された月も「暦日数」で計算
- 最低保障額(労働日数基準)との比較が必要
- 社会保険料や税金の処理は別途必要
まとめ
平均賃金は、労務トラブルが発生した際に大きな影響を及ぼす重要な計算です。
今回のエクセルシートを活用すれば、入力するだけで自動計算でき、 計算ミスを防ぎ、安心して実務対応が可能 になります。
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