~改善指導の実務対応と記載例~
1. 業務改善命令書とは
試用期間中の従業員に勤務態度の不良や能力不足が見られた場合、すぐに解雇や本採用見送りに進むのではなく、改善の機会を与えるために用いる文書 が「業務改善命令書」です。
また、就業規則に定められていない軽微な非違行為(遅刻や誤字の多発など)に対しても、改善内容を具体的に伝えることで指導の公平性・透明性を確保できます。
2. 記載内容のポイント
命令書には、次のような項目を具体的に記載します。
- 改善命令の内容(例:遅刻をしない、書類作成で誤字をなくす)
- 現状の事実(例:3月に21日のうち3日遅刻、書類に誤字多数)
- 業務への影響(例:朝礼の進行に支障、他社員の残業増加)
- 会社の措置(例:面談の実施、追加研修)
- 改善基準(例:試用期間中は遅刻ゼロ、研修目標の80%達成)
- 未達成時の対応(例:本採用の見送り、試用期間延長)
- 従わない場合の対応(例:改善意思なしと判断し採用見送り)
さらに、本人に「確認書」を提出させることで、改善内容を理解し責任を持って取り組む姿勢を明確化できます。
3. 実務での活用事例
事例①:改善を経て本採用に至ったケース
新入社員が試用期間中に度々遅刻。業務改善命令書で「遅刻ゼロ」を明確にし、本人の生活リズム改善と指導を経て本採用に。
👉 文書で改善目標を示すことで、本人も改善に集中でき、結果として定着につながりました。
事例②:改善できずに本採用見送りとなったケース
別の新入社員は、誤字脱字やミスが多発し、改善命令を受けても達成基準を満たせず。最終的に本採用見送りとなりました。
👉 「改善の機会を与えた」記録があることで、解雇や不採用判断の適法性が担保され、トラブル防止にも有効でした。
4. まとめ
- 業務改善命令書は、試用期間中の従業員に改善の機会を与え、指導の公平性を保つ重要なツール。
- 内容は 「具体的な事実」+「改善基準」+「未達時の対応」 を明記する。
- 本人に「確認書」を提出させることで、後のトラブル防止にも役立つ。
👉 試用期間中の指導や本採用判断に迷う場合は、ぜひ専門家にご相談ください。