2026年4月30日、厚生労働省より「労働条件通知書等の普及促進について」の一部改正通達が公表されました。
今回の改正では、2026年10月1日施行予定の省令改正に対応し、労働条件通知書のモデル様式が変更されています。
特に、パート・有期雇用労働者に対する説明義務の強化が実務上の大きなポイントとなります。
「今の労働条件通知書のままで大丈夫?」
「パート社員にも何か説明が必要?」
と不安に感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。
今回は、改正内容と企業が対応すべき実務ポイントについて、わかりやすく解説いたします。
労働条件通知書とは?
労働条件通知書とは、従業員を雇い入れる際に、
- 労働時間
- 賃金
- 契約期間
- 休日
- 就業場所
などの労働条件を明示するための書類です。
労働基準法第15条に基づき、会社には書面等による明示義務があります。
特に近年は、
- 同一労働同一賃金
- 非正規雇用の待遇差
- 説明義務
などが強化されており、単なる形式的な書類では済まされない時代になっています。
今回の改正内容とは?
今回の改正で追加される重要ポイントは、
「待遇の相違の内容・理由等について説明を求めることができる」
旨を、労働条件通知書に明示する必要がある点です。
対象となるのは主に、
- パートタイム労働者
- 有期雇用労働者
- 派遣労働者
です。
つまり、
「なぜ正社員と手当が違うのか」
「なぜ賞与がないのか」
などについて、従業員が会社へ説明を求めることができる旨を、あらかじめ通知書へ記載する必要があります。
なぜ改正されたのか?
背景には「同一労働同一賃金」の流れがあります。
非正規雇用労働者から、
- 「なぜ自分だけ待遇が違うのか」
- 「説明を受けていない」
- 「不合理ではないか」
というトラブルが増加しているためです。
厚生労働省としては、
- 企業側の説明責任を明確化
- 従業員との認識ズレ防止
- 不合理な待遇差の是正
を目的としています。
実務上の注意点
① 労働条件通知書の様式変更が必要
現在使用している雛形が古い場合、法改正に対応できていない可能性があります。
特に、
- Excelの古いテンプレート
- 何年も更新していない雛形
- ネットで取得した旧様式
をそのまま使用している企業は注意が必要です。
② 「説明できる状態」にしておく必要がある
単に通知書へ記載するだけでは不十分です。
実際に従業員から、
- 「なぜ賞与が違うのですか?」
- 「正社員との違いは何ですか?」
と質問された際に、合理的に説明できる必要があります。
③ 就業規則・賃金規程との整合性も重要
通知書だけ修正しても、
- 就業規則
- パート規程
- 賃金規程
との内容がズレていると、後々トラブルにつながります。
特に、
- 手当支給基準
- 昇給
- 賞与
- 福利厚生
については整理しておくことが重要です。
【事例】パート社員から待遇差について質問されたケース
ある介護事業所では、パート職員から、
「なぜ正社員には資格手当があり、パートにはないのですか?」
と質問を受けました。
しかし会社側では、
- 明確な基準がない
- 昔からの慣例
- 説明できる資料がない
という状態でした。
結果として従業員との関係が悪化し、退職につながってしまいました。
このようなトラブルを防ぐためには?
企業としては、
✅ 手当の目的を明確化
✅ 正社員・パートの役割整理
✅ 賃金規程の整備
✅ 労働条件通知書の更新
を行っておくことが重要です。
経営者が今すぐ確認すべきポイント
2026年10月施行までに、以下を確認しておきましょう。
チェック項目
- 労働条件通知書は最新様式か
- パート・有期雇用向け通知書を使用しているか
- 就業規則との整合性はあるか
- 待遇差の説明ができるか
- 手当支給基準が明確か
まとめ
今回の改正は、単なる様式変更ではありません。
今後は、
「会社が待遇差を説明できるか」
が非常に重要になります。
特に、
- 医療機関
- 介護事業所
- 飲食業
- 小売業
など、パート・有期雇用労働者が多い企業は早めの対応がおすすめです。
労働条件通知書や就業規則を放置していると、思わぬ労務トラブルにつながる可能性があります。
法改正に合わせて、一度見直しを行いましょう。
労働条件通知書・就業規則の見直しはお任せください
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