企業が新しい従業員を採用するときに、「誓約書」や「身元保証書」の提出を求めるケースがあります。
しかし、実務では 「必ず必要なのか?」「どんな内容にすべきか?」 迷うことも多いでしょう。
この記事では、社会保険労務士の視点から 入社時の誓約書・身元保証書の役割と注意点 をわかりやすく解説します。
1. 入社時の誓約書とは?
入社時の誓約書は、従業員が会社に入社する際に署名・押印する書類です。
目的は、会社のルールを守ることや、業務上知り得た情報を外部に漏らさないことを約束する点にあります。
【誓約書の主な内容】
- 会社の就業規則・諸規則を遵守すること
- 業務上の秘密情報や個人情報を漏えいしないこと
- 暴力団などの反社会的勢力と関わらないこと
- 故意や重大な過失で損害を与えた場合は賠償すること
【事例】誓約書が役立ったケース
ある営業社員が、退職後に競合会社へ転職しました。
その際、在職中に知り得た顧客リストを持ち出そうとしましたが、会社は誓約書を根拠に注意喚起し、情報漏えいを防止できました。
ポイント:誓約書は、万一のトラブル時に会社を守る有力な証拠となります。
2. 身元保証書とは?
身元保証書は、採用する従業員の家族や親族などが**「万一の損害が発生した場合に連帯責任を負う」**と約束する書類です。
【身元保証書の役割】
- 本人の身元・信用の確認
- 故意や重大な過失で損害を与えた場合の賠償責任を保証
- 企業にとっては安心材料となる
【作成時の注意点】
- 保証人には印鑑証明書を添付してもらう
- 極度額(責任の上限額)を明記する
- 保証期間は最長5年まで(民法改正により明文化)
【事例】身元保証書が活用されたケース
ある従業員が、会社の車を私的に使用し事故を起こしました。
会社は車の修理代を負担しましたが、故意に規則を破ったため、身元保証書に基づき一部を保証人に請求できました。
ポイント:保証書は、損害発生時に会社を守るだけでなく、従業員本人の行動抑止力にもなります。
3. 実務対応のまとめ
- 誓約書は、全従業員に提出してもらうことが望ましい
- 身元保証書は、特に現金や車両を扱う従業員には有効
- 保証期間や極度額を明記し、印鑑証明を添付してもらう
入社時の書類整備は、後々のトラブル防止につながります。
自社の就業規則とあわせて、誓約書・身元保証書を整備しておくことをおすすめします。
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