近年、従業員がSNSに不適切な投稿をしたことで企業の信用が毀損される事案が増えています。
飲食店でのアルバイトによる「バイトテロ」や、企業批判の投稿が拡散されることで、会社のブランドや採用活動に大きなダメージを与えることもあります。
このような場合、事実関係を正確に記録する「議事録」を作成することが、再発防止や法的リスク管理の観点から非常に重要です。
議事録の目的
- 問題となった投稿の内容や日時を記録し、証拠とする
- 投稿者との面談内容を明文化し、後日のトラブルを防止
- 会社としての対応プロセスを明確化し、透明性を確保
議事録に記載すべき項目(実務用ひな型)
実際のひな型(議事録)には、以下の内容を記録します。
基本情報(実施日時・場所・参加者)
投稿の内容(スクリーンショットや画像を添付)
投稿日時
投稿の理由(動機の確認)
共犯者の有無(関与者の確認)
投稿したプラットフォームやアカウント名
投稿を削除する意思の有無
事実との相違がない旨の署名
事例:飲食店アルバイトによる不適切投稿
ある飲食店チェーンでは、アルバイト従業員が調理場での不適切行為を撮影し、X(旧Twitter)やTikTokに投稿したことが大きな炎上につながりました。
会社は即座に以下の対応を実施しました。
- 投稿者との面談を実施し、議事録を作成
- 共犯者や撮影者の有無を確認
- 該当投稿の削除を指示
- 再発防止のための研修を実施
このように、議事録は事実確認の基礎資料となり、万一の懲戒処分や損害賠償請求においても有力な証拠となります。
実務上のポイント
- 証拠の確保
投稿は削除される可能性が高いため、スクリーンショットやURLの保存が必須です。 - 労務管理との連動
就業規則に「SNS利用に関する規定」や「信用毀損行為の禁止」を明記しておくことが望ましいです。 - 懲戒処分の適正化
処分を行う場合は、就業規則に基づいた合理的・相当な範囲で行う必要があります。
まとめ
従業員のSNS投稿による信用毀損は、企業に深刻な打撃を与えます。
その際に 「議事録を残す」ことは、再発防止だけでなく、法的リスクを回避するためにも極めて有効な手段です。
「自社でSNSトラブルが発生したとき、どう対応すればよいか不安…」という場合は、事前にルール整備と対応マニュアルを準備しておくことをおすすめします。
📌 就業規則の整備やSNSトラブル対応のマニュアル作成は専門家にご相談ください。