労務管理

苦情内容記録の重要性と実務での活用方法

ひらおか社会保険労務士事務所です。
近年、従業員によるSNS投稿や不適切な行為によって企業の信用が毀損される事案が増えています。こうした事態では、顧客・取引先・株主などから寄せられる「苦情」への対応が非常に重要です。

その際に活用できるのが、「苦情内容記録」です。

苦情内容記録とは?

「苦情内容記録」とは、会社の信用が毀損された際に外部から寄せられた苦情を整理・記録するための書類です。

苦情対応の経緯を正確に残すことで、

  • 苦情処理の一貫性・透明性を確保できる
  • 社内での情報共有や再発防止策の検討に役立つ
  • 将来的な法的対応や株主・取引先への説明責任を果たす資料になる

といった効果があります。

苦情内容記録に記載すべき項目

実際の書式では、次のような情報を整理して記載します。

  • 苦情が寄せられた日時
  • 苦情申入れ者(顧客・取引先・株主など)
  • 対応者(社内の担当者名・部署)
  • 連絡先(電話・メールアドレス等)
  • 苦情の方法(電話・メール・書面など)
  • 苦情の内容(具体的な申入れ内容)

事例紹介

事例①:顧客からの商品購入停止の連絡

ある小売業では、アルバイトによる不適切動画がSNSで拡散され、顧客から「今後は貴社の商品を購入しない」との電話が入りました。
この内容を「苦情内容記録」に残すことで、経営陣がリスクの重大性を早期に認識し、再発防止策の検討につなげました。

事例②:匿名からの損害賠償要求

製造業のB社では、「バイトテロ動画で気分を害した。損害賠償してほしい」という匿名の苦情電話が寄せられました。
担当部署は記録を残した上で、法務部門と連携して対応方針を整理。感情的な要求にも冷静に対応することができました。

事例③:株主からの問い合わせ

ある上場企業では、株主から「不適切動画が株価下落の要因になった。信頼回復のための方針を示してほしい」とメールでの苦情が届きました。
「苦情内容記録」を社内で共有した結果、広報部・総務部・IR担当が連携し、迅速に株主向け説明資料を作成することができました。

実務上の注意点

  1. 事実を正確に記録
     感情的な表現を避け、事実をそのまま記載することが重要です。
  2. 対応の一元化
     部署ごとに対応がバラバラにならないよう、苦情内容は必ず共通フォーマットで残しましょう。
  3. 法的リスクを考慮
     損害賠償請求や株主からの責任追及につながる可能性もあるため、記録は証拠としての役割を持ちます。

まとめ

苦情対応は企業の信頼回復に直結する重要な業務です。
「苦情内容記録」を整備・活用することで、対応の透明性を確保し、再発防止や危機管理に役立てることができます。

📌 苦情対応の社内体制づくりや記録フォーマットの整備は専門家にご相談ください。

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