こんにちは、ひらおか社会保険労務士事務所です。
今回は、育児と仕事の両立支援に関して法的に義務づけられている「意向聴取」について解説します。
意向聴取とは?
従業員の子どもが3歳になるまでの間に、仕事と育児の両立に関する意向を聴取することは、労使協定の有無に関わらず、事業主の義務とされています。
これは、従業員が安心して働き続けられるよう、あらかじめ希望を確認し、必要に応じた制度利用や働き方の調整を検討するためのものです。
聴取書に記載する主な内容
実際の「意向聴取書」では、次のような事項を確認します
- 勤務条件
- 勤務時間(始業・終業時刻の希望)
- 勤務地
- 両立支援制度
- フレックスタイム制度の利用希望
- 短時間勤務制度の希望内容(勤務時間・期間)
- 時間外労働・所定外労働・深夜業の制限
- 子の看護休暇などの取得希望
- その他の希望
(例:日祝の勤務免除、定期的な半日休暇の希望など)
実務での注意点
- 書面で残すことが重要
面談だけではなく、文書として提出してもらうことで後日の確認や労務トラブル防止につながります。 - 全て希望を叶える義務はないが、配慮は必要
書面に記載された内容を必ず実現しなければならないわけではありませんが、できる限りの配慮を行うことが求められます。 - 期日を明確に設定する
「提出期限」を設定し、担当部署や担当者を明記することで、実効性のある運用が可能です。
【事例】ひとり親従業員からの意向聴取
実際にあったケースをご紹介します。
事例:ひとり親である従業員の希望
- 保育園に預けられないため、日曜・祝日は勤務できない
- 子どもの通院のため、月1回半日休暇を取得したい
→ 会社としては、シフト作成の際に日祝勤務を免除し、また通院日については事前に相談すれば半日休暇を取れるように制度を柔軟に運用しました。
このように、従業員の生活実態に合わせた配慮を行うことで、離職防止や職場定着につながります。
まとめ
- 意向聴取は 子どもが3歳になるまでに必ず実施すべき法的義務
- 書面化して残すことで、後日のトラブル防止につながる
- 全て希望を叶える必要はないが、可能な限り配慮が求められる
- 実際の運用では、シフト調整や休暇制度の柔軟な適用が効果的
仕事と育児の両立を支援することは、従業員の定着・企業の信頼向上に直結します。
就業規則や運用体制の整備にお悩みの際は、ぜひご相談ください。
✅ 初回相談は無料です
就業規則・育児介護休業規程の整備や両立支援制度の導入について、お気軽にご相談ください。