労務管理

採用面接でSNSチェックはどこまでOK?/ひらおか社会保険労務士事務所

「就職差別に関する調査2026」から考える、企業が注意すべき採用実務

近年、採用活動において「SNSアカウントの確認」を行う企業が増えています。

実際に、日本労働組合総連合会(連合)が公表した「就職差別に関する調査2026」では、

「採用選考過程において、企業からSNSアカウントを調査されたことがある」
→ 21.8%(前回調査から11.1ポイント上昇)

という結果が示されました。

採用活動の中で、
「トラブル防止のためにSNSを見たい」
「社風に合う人物か確認したい」
という企業側の気持ちは理解できます。

しかし、やり方を誤ると、
“就職差別”や“プライバシー侵害”と受け取られるリスクもあります。

今回は、経営者・採用担当者が知っておきたい、
「採用面接で聞いてはいけないこと」
「SNS調査の注意点」
について、実務目線でわかりやすく解説します。


連合調査で見えた「採用選考」の実態

今回の調査では、以下のような結果も公表されています。

面接で聞かれたこと

  • 「転勤ができるか」41.7%
  • 「残業・休日出勤ができるか」39.2%
  • 「家族に関すること」36.9%
  • 「結婚後・出産後も働くか」22.7%
  • 「結婚予定」19.9%

さらに、

  • 性的指向
  • 性自認

などに関する質問も増加傾向とのことです。

また、

  • 「戸籍謄本の提出を求められた」39.1%
  • 「学歴フィルターを感じた」44.3%

という結果も出ています。

採用担当者としては“悪気なく”質問しているケースもありますが、
内容によっては不適切質問に該当する可能性があります。


採用面接で注意すべき「NG質問」

厚生労働省は、採用選考において、

「本人に責任のない事項」
「本来自由であるべき事項」

を質問することは、就職差別につながるおそれがあるとしています。

具体的な注意例

① 家族構成・家庭環境

  • 両親の職業
  • 家族の学歴
  • 家庭の経済状況
  • 本籍地

など。

これらは本人の能力・適性とは関係がありません。


② 結婚・出産予定

  • 「結婚予定はありますか?」
  • 「子どもは考えていますか?」
  • 「出産後も働けますか?」

特に女性応募者に対して行うと、
男女差別と受け取られるリスクがあります。


③ 思想・信条・宗教

  • 支持政党
  • 宗教
  • 思想
  • 労働組合活動

などを確認することも注意が必要です。


SNS調査はどこまで許される?

ここは最近特に相談が増えているテーマです。

企業側の本音

企業としては、

  • 炎上リスクを避けたい
  • モラル面を確認したい
  • 社風との相性を見たい

という目的でSNS確認を行うケースがあります。

しかし、注意が必要です。


実務上のリスク

例えば、

  • 政治的発言
  • 宗教的投稿
  • 性的指向
  • 家族情報
  • 病歴を推測できる内容

などを見てしまうと、

「それを理由に不採用にしたのでは?」
と疑われる可能性があります。

特に、
“見えてしまった情報”を完全に切り離して判断することは、実務上かなり難しいです。


実務でおすすめしたい対応

① SNS調査を行う場合はルール化する

例えば、

  • 採用担当者のみ閲覧
  • 業務に関係する範囲のみ確認
  • 選考記録に私生活情報を書かない

など、社内ルールを決めておくことが重要です。


② 「何を見ないか」を決める

実はここが非常に大切です。

例えば、

  • 宗教
  • 政治
  • 家族
  • 恋愛
  • 病歴
  • 性的指向

などは、評価対象にしない運用を徹底する必要があります。


③ 面接官教育を行う

現場で多いのが、

「雑談のつもりだった」

というケースです。

しかし、応募者側は強い圧迫感を感じることがあります。

特に中小企業では、
面接官教育が未実施のケースも多いため注意が必要です。


【事例】何気ない質問がトラブルになったケース

事例① 女性応募者への質問

面接時、

「結婚後も続けられますか?」
「子どもができても働けますか?」

と質問。

会社側は“長く働いてほしい”という意図でしたが、
応募者は「女性だから聞かれた」と感じ、不信感を抱き辞退。

結果として、
SNS上で企業名付きで投稿され、採用ブランドに影響が出ました。


事例② SNS確認による誤解

応募者のSNSを見た担当者が、

  • メンタル不調をうかがわせる投稿
  • 政治的発言

を確認。

その後、不採用となったため、

「SNSが原因ではないか」

とトラブル化。

会社として説明が難しくなってしまいました。


これからの採用で大切なのは「公平性」

採用活動では、

  • 「会社を選ぶ」
    だけでなく、
  • 「会社も見られている」

時代になっています。

特に若い世代は、

  • 面接対応
  • 言葉遣い
  • 質問内容
  • SNS対応

を非常によく見ています。

採用難の時代だからこそ、

「安心して応募できる会社」

であることが、結果的に採用力向上につながります。


まとめ

採用面接では、

  • 家族
  • 結婚
  • 思想信条
  • 性的指向
  • SNS上の私生活

など、慎重な取り扱いが必要な情報があります。

「悪気がなかった」では済まないケースも増えており、
企業には“公平な採用”がこれまで以上に求められています。

採用トラブルを防ぐためには、

  • 面接質問の見直し
  • 面接官教育
  • 採用基準の整理
  • SNS調査ルールの整備

が非常に重要です。

採用実務に不安がある場合は、
一度、採用フロー全体を点検されることをおすすめします。


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