~中小企業でも活用できる「人への投資」支援制度~
1. 制度の概要
人材開発支援助成金(人材育成支援コース)は、厚生労働省が実施する雇用関係助成金の一つです。
企業が従業員に対して「職務に必要な知識・技能」を身につけさせるために訓練(研修)を行った場合、
その訓練にかかる経費の一部と訓練中の賃金の一部を国が助成します。
💡 目的
「人への投資」を促進し、社員のスキルアップやキャリア形成を支援する制度です。
2. 対象となる事業主と労働者
■ 対象事業主の主な要件
- 雇用保険の適用事業所であること
- 労働保険料を滞納していないこと
- 職業能力開発推進者を選任していること
- 事業内職業能力開発計画を策定・周知していること
■ 対象労働者の主な要件
- 雇用保険の被保険者であること
- 訓練実施時点で雇用されていること
- 訓練内容が職務に関連していること
- 正社員だけでなく、パート・有期契約社員も対象
✅ 実務ポイント
対象者の範囲を正しく把握していないと、「支給対象外」となるケースがあります。
申請前に雇用契約書や雇用保険の資格状況を確認しましょう。
3. 対象となる訓練の種類
令和7年度時点では、主に以下の3つの訓練があります。
| 訓練類型 | 概要 | 経費助成 | 賃金助成 |
|---|---|---|---|
| 人材育成訓練 | OFF-JTによる10時間以上の訓練 | 経費:75%(賃上げ時85%) | 1時間あたり1,000円 |
| 認定実習併用職業訓練 | OJT+OFF-JT型訓練 | 経費:60%(賃上げ時75%)+OJT助成25万円 | 同上 |
| 有期実習型訓練 | 正社員化を目的とした訓練 | 経費:最大100%+OJT助成10~13万円 | 同上 |
4. 訓練計画届の提出期限と注意点
- 訓練開始日の1か月前までに提出(最長6か月前から可)
- 提出期限が土日祝日の場合は前営業日
- 郵送は消印日が提出日となります
⚠️ 実務注意
提出が1日でも遅れると支給対象外になります。
特に郵送の場合は、消印日を必ず確認しましょう。
5. 賃金助成のポイント
- 訓練期間中も通常の賃金を支払うことが原則
- 所定労働時間外に訓練を行う場合でも、割増賃金を支払っていれば対象
- 賃金台帳や出勤簿で訓練時間を明確にしておくことが重要です
6. 経費助成の対象経費(よくある質問)
【対象となる経費】
- 外部講師への謝金・手当
- 教材・教科書費
- eラーニング・通信教育の受講料
- 研修会場・設備の借上費
【対象外の経費】
- 社員講師の人件費
- 交通費・宿泊費
- 備品購入費(PC・机など)
💬 事例
例)社外講師を招いて、営業スキル研修(15時間)を実施。
→ 講師謝金・会場費・教材費が経費助成の対象になります。
ただし、自社社員が講師を務めた場合の人件費は対象外です。
7. 賃上げ要件(支給率UPのカギ)
- 訓練修了後6か月以内に基本給または定額手当を引き上げる
- 対象は訓練を受けた全員
- 賃金台帳で引上げを確認できる必要あり
💡 賃上げを実施した場合、経費助成率が10%アップします。
8. キャリアアップ助成金との併用
有期実習型訓練を修了後に正社員化した場合、
キャリアアップ助成金(正社員化コース)と併用可能です。
- 訓練計画届がキャリアアップ計画を兼ねる
- 正社員化後6か月の雇用継続で申請可能
9. 電子申請の活用
- 「雇用関係助成金ポータル」でオンライン申請が可能
- GビズIDの取得が必要
- 電子申請なら、進捗確認・履歴閲覧も可能
✅ おすすめ
紙申請よりも処理が早く、控えの保存も容易。
今後は電子申請が主流になる見込みです。
10. 不支給となる主なケース
- 訓練期間中の賃金未払い・遅延
- 事業主都合の解雇
- 訓練内容が職務と無関係
- 労働関係法令に違反している場合
11. まとめ
人材開発支援助成金は、
「社員の成長」と「企業の生産性向上」を両立できる制度です。
特に中小企業では、外部研修や資格取得に対する助成が受けられるため、
人材育成コストを大幅に抑えることができます。
💬 実際の支援事例
製造業A社では、若手社員5名を対象に「生産管理研修」を実施。
経費助成75%、賃金助成1名あたり12,000円を受給しました。
研修後、製造ミスが減り、生産効率が向上。
社員のモチベーションも上がり、「投資効果を実感できた」との声も。
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