経営者が知っておくべき変更点と実務対応
2026年4月から、協会けんぽの健康診断制度が大きく見直されました。
主な変更点として
- 人間ドック健診への補助制度の新設
- 生活習慣病予防健診の対象年齢拡大
- 女性向け骨粗しょう症検診の導入
などが挙げられます。
これにより、企業の労務担当者は
- 対象者の把握
- 従業員への案内
- 健診の社内管理
など、実務対応の見直しが必要になります。
本記事では、
経営者・人事担当者が押さえておくべきポイントを実務目線でわかりやすく解説します。
1 なぜ健康診断が重要なのか
健康診断は、病気の早期発見や健康維持のために非常に重要です。
特に近年は
- 生活習慣病
- メタボリックシンドローム
- 女性特有の疾患
などの早期発見が重視されています。
生活習慣病は初期症状がないことも多く、
気づかないまま進行すると
- 心筋梗塞
- 脳卒中
など重大な病気につながる可能性があります。
企業にとっても
- 生産性の維持
- 医療費の抑制
- 人材定着
の観点から、健康管理は経営課題の一つといえます。
2 2026年4月からの主な制度変更
① 人間ドック健診への補助制度(新設)
2026年4月から、
35歳以上の被保険者を対象に人間ドック健診の補助制度が新設されました。
対象
35歳〜74歳の被保険者
補助額
最大 25,000円
これまでの生活習慣病予防健診ではカバーできなかった
詳細な検査が受けやすくなります。
② 生活習慣病予防健診の対象拡大
これまで
35歳以上のみ対象
でしたが、
新たに
- 20歳
- 25歳
- 30歳
の被保険者も対象となりました。
若いうちから健康意識を高めることが目的です。
③ 骨粗しょう症検診の新設
女性の健康支援のため、
骨粗しょう症検診が新たに導入されました。
対象
40歳〜74歳の女性(偶数年齢)
自己負担
最大 1,390円
骨密度の低下を早期に把握することで
- 将来の骨折
- 転倒リスク
の軽減につながります。
④ 2027年度から扶養家族にも拡大
2027年度からは
被扶養者(家族)にも健診制度が拡大予定
となっています。
つまり
企業としては
従業員+家族の健康管理
という視点が重要になります。
3 企業が対応すべき実務ポイント
企業では、年1回の健康診断の実施義務があります。
そのため、健診制度の変更に伴い
以下の対応が重要になります。
① 健診対象者の抽出
まずは
- 生年月日
- 性別
- 年齢
などをもとに対象者を整理します。
注意点として
年度内に到達する年齢で判断する
必要があります。
例
2026年度の場合
2026年4月2日〜2027年4月1日
の間に到達する年齢
② 従業員への案内
健診案内では以下の内容を周知します。
例
- 健診制度の内容
- 対象者
- 受診期間
- 実施機関
- 費用の精算方法
企業ごとに
- 従業員が予約
- 会社が予約
などルールを決めておくとスムーズです。
③ 健診管理表の作成
実務では
健診管理表の作成
がおすすめです。
管理項目例
- 健診の種類
- 受診予定日
- 医療機関
- 受診状況
これにより
- 未受診者の把握
- 再受診の案内
がしやすくなります。
4 健康診断後の企業の義務
健康診断後は、企業に以下の義務があります。
①健診結果の保存
5年間保存
②医師の意見聴取
異常所見がある場合
3か月以内に医師の意見聴取
③就業上の措置
必要に応じて
- 配置転換
- 労働時間短縮
- 深夜業の制限
などを検討します。
④労基署への報告
従業員 50人以上
の場合
定期健康診断結果報告書の提出
が必要です。
5 実務事例(企業の対応例)
事例①
製造業(従業員60名)
2026年度から
- 若手社員(20歳・25歳)の健診対象化
- 健診管理表の導入
を実施。
結果
- 未受診者が大幅減少
- 健康診断実施率100%達成
事例②
IT企業(従業員40名)
人間ドック補助制度の導入をきっかけに
- 人間ドック費用補助を廃止
- 協会けんぽ制度を活用
企業負担が軽減し、
福利厚生の見直しにもつながりました。
まとめ
2026年4月からの健診制度改正は
- 人間ドック補助
- 若年層健診
- 女性向け健診
など、健康経営を強化する内容となっています。
企業としては
- 対象者の把握
- 社内フロー整備
- 健診管理
を早めに整理しておくことが重要です。
従業員の健康は、
企業の生産性や人材定着にも直結します。
この機会に
健康管理体制の見直しを行ってみてはいかがでしょうか。
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