テレワークが普及する中で、経営者や管理担当者からよくいただくご相談があります。
「パソコンの前に座っている時間は、全部労働時間になるのですか?」
「離席していた時間はどう扱えばいいのでしょうか?」
テレワークでは、オフィス勤務と異なり“見えない労働時間管理”が大きな課題になります。
今回は、テレワーク中の「労働時間」の考え方について、実務上のポイントをわかりやすく解説します。
そもそも「労働時間」とは?
労働時間とは、単純に
- パソコンを開いている時間
- ログインしている時間
- 在席している時間
を指すわけではありません。
法律上は、
「使用者の指揮命令下に置かれている時間」
かどうかで判断されます。
つまり、
- 会社の指示で業務対応している
- すぐに業務対応を求められる
- 実質的に自由利用できない
状態であれば、労働時間となる可能性があります。
パソコンの前にいても「労働時間ではない」ケース
たとえば以下のようなケースです。
① 私用で離席している
- 洗濯
- 買い物
- 家事
- 子どもの送迎
などで自由に業務から離れている時間は、通常は労働時間に該当しません。
② 完全に業務から解放されている
例えば、
- 中抜けを認めている
- 業務指示がない
- 自由利用可能
な時間については、労働時間ではない可能性があります。
労働時間となる可能性が高いケース
① 常時待機を求めている
例えば、
- Teams・Slack即返信義務
- 常時オンライン状態
- 即時対応指示
などがある場合です。
形式上「休憩」とされていても、実態として拘束されていれば労働時間と判断される可能性があります。
② 実質的に離席できない
例えば、
- 頻繁にチャット確認が必要
- 電話待機が必要
- 上司から随時指示が来る
など、自由利用が制限されている場合です。
【事例①】「中抜け制度」を導入したケース
IT企業A社では、テレワーク時に
- 病院受診
- 保育園送迎
- 家事対応
などを認める「中抜け制度」を導入。
実務対応
- 中抜け時間を申告制に
- 勤怠システムへ記録
- 後で勤務時間を調整
したことで、労務トラブル防止につながりました。
【事例②】“休憩扱い”が問題になったケース
B社では、
「昼休憩中もチャットは即返信」
という運用を行っていました。
しかし実態として、
- 常時待機
- 業務対応義務
- 自由利用不可
の状態だったため、労働時間性が問題となりました。
結果として、
- 休憩運用の見直し
- 自動応答設定
- 担当交代制
を導入することになりました。
テレワークで特に重要な「労働時間管理」
テレワークでは、
「見えていないから管理しなくていい」
ではありません。
むしろ、
- 長時間労働
- サービス残業
- 隠れ残業
が発生しやすいため、企業側の管理責任が重要になります。
実務上おすすめの対応
① テレワーク規程を整備する
最低限、以下を明確にしましょう。
- 始業・終業ルール
- 中抜けルール
- 休憩ルール
- 勤怠報告方法
- 残業申請方法
② 勤怠管理ツールを導入する
おすすめは、
- PCログ
- 打刻システム
- チャット連携
などを活用した客観的管理です。
③ 「常時接続文化」を見直す
テレワークでは、
「すぐ返事がない=サボり」
という文化が長時間労働を招きやすくなります。
管理職教育も重要です。
テレワークで企業が注意すべきリスク
放置すると…
- 未払い残業代請求
- 労基署調査
- メンタル不調
- 長時間労働問題
につながる可能性があります。
特に近年は、
「ログデータ」
「チャット履歴」
「PC起動時間」
などから実態確認されるケースも増えています。
まとめ
テレワーク中は、
「パソコンの前にいる=すべて労働時間」
ではありません。
重要なのは、
「会社の指揮命令下にあるか」
という点です。
しかし、実務上は曖昧になりやすいため、
- テレワーク規程
- 勤怠管理
- 中抜けルール
- 管理職教育
の整備が非常に重要になります。
テレワーク規程・労務管理のご相談はお任せください
ひらおか社会保険労務士事務所では、
- テレワーク規程整備
- 労働時間管理
- 未払い残業対策
- 労務リスク改善
などをサポートしております。
「今の運用で問題ないか不安…」
「テレワーク制度を整備したい」
という企業様は、お気軽にご相談ください。