「試用期間中だから、本採用しないのは会社の自由ですよね?」
採用面接でよく見えた人材でも、実際に働き始めると、
- 思っていた能力と違った
- 協調性に問題があった
- 遅刻や欠勤が多い
- 指示に従わない
というケースは珍しくありません。
そのため、「試用期間中だから本採用を見送ろう」と考える会社もあります。
しかし、試用期間だからといって、自由に本採用を拒否できるわけではありません。
実際に、本採用拒否が無効と判断され、会社が敗訴するケースもあります。
今回は、採用・試用期間に関する最も重要な判例の一つである**「三菱樹脂事件」**をもとに、企業が知っておきたいポイントを分かりやすく解説します。
「試用期間=お試し期間」ではありません
多くの経営者が、
「試用期間なら簡単に辞めてもらえる。」
と思われています。
しかし、最高裁判所は試用期間について、
「解約権留保付の雇用契約」
という考え方を示しています。
つまり、一度雇用契約は成立しており、会社は一定の場合に解約できる権利を留保しているだけです。したがって、本採用を拒否する場合でも、一定の法的ルールを守る必要があります。
本採用拒否が認められるのはどんな場合?
最高裁判所は、本採用拒否が認められるためには、次のような事情が必要と判断しました。
✅ 採用時には分からなかった事実が判明した
✅ 試用期間中の勤務態度や能力などを踏まえ、引き続き雇用することが客観的に適当でないと判断できる
つまり、
「なんとなく合わない」
「期待していた人物ではなかった」
という理由だけでは、本採用拒否が認められるとは限りません。
よくある失敗①「証拠が残っていない」
本採用拒否で最も多いトラブルが、
評価の記録が一切残っていないことです。
例えば、
「仕事ができなかった」
と言っても、
- 指導記録
- 面談記録
- 注意した内容
- 改善指導
などが残っていなければ、
会社側が理由を十分に説明できない可能性があります。
「口頭で注意しただけ」では、後々トラブルになることも少なくありません。
よくある失敗②「試用期間を延長すれば大丈夫」と思っている
試用期間を安易に延長している会社もあります。
しかし、
- 就業規則に規定がない
- 延長理由が曖昧
- 本人へ説明していない
という場合には、トラブルに発展する可能性があります。
試用期間の運用は、就業規則や雇用契約書との整合性も重要です。
採用面接でも注意が必要です
三菱樹脂事件では、「採用の自由」についても重要な判断が示されています。
企業には、誰を採用するかを決める自由があります。
しかし、現在では当時とは異なり、
- 男女雇用機会均等法
- 個人情報保護法
- 職業安定法
- 厚生労働省の「公正な採用選考」の考え方
などにより、採用時に確認できる事項や質問内容には一定の制約があります。
例えば、
- 家族構成
- 思想・信条
- 宗教
- 本籍地
- 支持政党
などを採用選考で確認することは、慎重な対応が求められます。
昔は問題なかった採用方法でも、現在では見直しが必要なケースがあります。
このような会社は要注意です
次のような会社は、一度採用・試用期間の運用を見直すことをおすすめします。
- 試用期間を設けている
- 採用基準が担当者ごとに異なる
- 面接で質問内容が決まっていない
- 本採用・不採用の判断基準が曖昧
- 評価シートや面談記録を作成していない
一つでも当てはまる場合は、将来的な労務トラブルにつながる可能性があります。
このようなご相談が増えています
シェアマインド社労士事務所では、採用に関して次のようなご相談をいただいています。
- 「試用期間中なら自由に辞めてもらえますか?」
- 「本採用拒否を考えていますが問題ありませんか?」
- 「試用期間を延長できますか?」
- 「面接で聞いてはいけない質問はありますか?」
- 「採用基準や評価シートを整備したいです。」
採用は会社の入口です。
入口でトラブルになると、その後の労務管理にも大きな影響を与えます。
社会保険労務士からのアドバイス
採用や試用期間のトラブルは、
「もっと早く相談していれば防げた」
というケースが非常に多くあります。
特に、
- 就業規則
- 雇用契約書
- 試用期間の規定
- 評価シート
- 面談記録
を整備しておくことで、多くのリスクを未然に防ぐことができます。
「問題が起きてから相談する」のではなく、「問題が起きる前」に準備することが、会社を守る一番の方法です。
採用・試用期間の運用に不安はありませんか?
シェアマインド社労士事務所では、
✅ 試用期間制度の見直し
✅ 就業規則・雇用契約書の整備
✅ 採用面接のチェック
✅ 本採用拒否に関するご相談
✅ 採用基準・評価シートの作成
など、採用から定着までをトータルでサポートしています。
「この対応で問題ないだろうか?」
そんな段階でも、お気軽にご相談ください。
初回相談は無料です。
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