「求人を出しているのに、なかなか応募が来ない」
「やっと採用できたと思ったら、数か月で辞めてしまった」
「給与を上げないと採用できないのだろうか……」
このような採用・人材定着のお悩みはありませんか?
人手不足が続くなか、「人が採れない」「採用しても定着しない」という問題は、多くの企業にとって大きな経営課題になっています。
しかし、人材の確保・定着は、必ずしも「給与を上げる」「求人広告費を増やす」だけで解決するものではありません。
厚生労働省が公表した「人材の確保・定着に成功した企業の取組事例集」では、採用活動における情報開示や、入社後のオンボーディングなどが、採用した人材の活躍につながる重要なポイントとして紹介されています。
今回は、人材確保・定着に悩む中小企業が取り入れたい「採用活動のコツ」を、社会保険労務士の視点から解説します。
「採用できない」ではなく「会社の魅力が伝わっていない」可能性も
採用活動というと、
- 求人媒体に掲載する
- ハローワークに求人を出す
- 給与を上げる
- 採用サイトを作る
といった方法を思い浮かべる方が多いと思います。
もちろん、これらも大切です。
しかし、その前に確認したいことがあります。
求職者が知りたい情報を、きちんと伝えていますか?
たとえば、求職者にとって給与額は重要ですが、それだけで就職先を決めているわけではありません。
「どんな仕事をするのか」
「どんな人と働くのか」
「残業はどのくらいあるのか」
「休みは取りやすいのか」
「入社後、どのように仕事を覚えていくのか」
「3年後、5年後にどのような仕事ができるようになるのか」
こうした情報も、会社選びでは重要な判断材料になります。
厚生労働省も「採用活動における情報開示」に注目
厚生労働省の資料では、採用活動において、特に将来の労働条件やキャリアについて情報開示することが、採用者のパフォーマンス向上につながることが示されています。
採用時には、たとえば次のような情報を伝えることが考えられます。
入社直後について
- 入社直後に求められる経験・スキル
- 配属される部署や業務内容
- 配置転換の範囲
- 残業時間や年間休日数などの労働環境
- 入社直後の賃金
- 福利厚生
将来について
さらに重要なのが、入社後の「未来」を伝えることです。
- 将来どのようなスキルや経験が身につくのか
- 将来どのような仕事を任される可能性があるのか
- キャリアパスはどうなっているのか
- 将来的に賃金はどのように上がっていくのか
こうした情報を採用段階から伝えることで、求職者も**「この会社に入ったら、自分はどうなれるのか」**をイメージしやすくなります。
「良いところ」だけを伝える採用には注意
ここは中小企業の採用で特に大切だと考えています。
採用したいからといって、会社の「良いところ」だけを伝えてしまうと、入社後に、
「聞いていた話と違う」
というミスマッチが起こる可能性があります。
たとえば、
「アットホームな職場です」
「若手が活躍しています」
「やりがいのある仕事です」
だけでは、実際の仕事内容や職場環境はほとんど伝わりません。
それよりも、
「繁忙期には残業がこの程度あります」
「最初の3か月はこの仕事から覚えてもらいます」
「独り立ちまでは先輩社員がサポートします」
「この仕事を経験すると、将来的には○○を担当できるようになります」
など、できるだけ具体的に伝えることが重要です。
採用は「入社してもらうこと」がゴールではありません。
入社後に活躍し、長く働いてもらうことまでが採用です。
実際に「職場を見せる」こともミスマッチ防止につながる
厚生労働省の事例集では、医療・福祉分野の企業において、面接前に職場見学を実施した事例が紹介されています。
各部署の様子や、実際に働いている職員の声を求職者に知ってもらうことで、職場環境への理解を深め、入職後のミスマッチを減らす取組です。
中小企業でも応用できます。
たとえば、
- 面接時に職場を見てもらう
- 実際に働く社員と話してもらう
- 1日の仕事の流れを説明する
- 入社後に担当する仕事を具体的に見せる
といった取組です。
求人票だけでは伝えられない「実際の職場」を知ってもらうことが、採用後のミスマッチ防止につながります。
採用できた後の「オンボーディング」が重要です
そして、今回の資料でもう一つ注目したいのがオンボーディングです。
オンボーディングとは、新しく入社した社員が会社や仕事に慣れ、組織の一員として活躍できるよう支援していく取組です。
厚生労働省の資料では、
- 面談
- 研修
- 相談窓口
- メンター制度
などが例として挙げられています。
「採用したから、あとは現場に任せる」
ではなく、入社後のフォローまで会社として設計することが重要です。
「せっかく採用したのに3か月で退職」を防ぐために
新入社員は、入社直後からさまざまな不安を抱えています。
「仕事のやり方が分からない」
「誰に質問したらいいのか分からない」
「職場になじめているか不安」
「自分は期待されているのだろうか」
こうした小さな不安が積み重なると、早期離職につながることがあります。
そこで、たとえば、
入社1週間後 → 面談
入社1か月後 → 面談
入社3か月後 → 面談
といった形で定期的に話を聞く仕組みを作るだけでも、問題の早期発見につながります。
重要なのは、問題が大きくなってから対応するのではなく、辞めたいと思う前に話を聞ける仕組みを作ることです。
中小企業こそ「採用」と「定着」をセットで考える
採用に困っている企業では、
「どうやって応募者を増やすか」
ばかりに目が向きがちです。
しかし、
採用する
↓
入社時のミスマッチを減らす
↓
会社になじんでもらう
↓
仕事を覚えてもらう
↓
本人の強みを把握する
↓
成長を支援する
↓
評価する
↓
長く活躍してもらう
という一連の仕組みまで考えることが、本当の意味での「人材確保」ではないでしょうか。
採用活動と人材定着は、別々の問題ではありません。
「この会社で働き続けたい」と思える会社づくりへ
人材定着というと、
「給与を上げなければいけない」
「福利厚生を充実させなければいけない」
と思われるかもしれません。
もちろん待遇も重要です。
しかし、それだけではありません。
「自分のことを理解してもらえている」
「自分の成長を見てもらえている」
「困ったときに相談できる」
「この会社で成長している実感がある」
こうした実感も、働き続けるうえで大切な要素です。
そのためには、採用時の情報開示だけでなく、
面談・コミュニケーション・人材育成・評価制度
まで一体として考えていく必要があります。
採用・定着にこんなお悩みはありませんか?
「求人を出しても応募が来ない」
「採用してもすぐ辞めてしまう」
「若手社員がなかなか定着しない」
「社員との面談をしたいが、何を聞けばよいかわからない」
「新人教育が現場任せになっている」
「評価制度がなく、社員の成長をうまく評価できていない」
「社員同士のコミュニケーションに課題がある」
一つでも当てはまる場合、求人広告を増やす前に、会社の採用・育成・定着の仕組みそのものを一度整理してみることをおすすめします。
社会保険労務士と一緒に「人が定着する会社」をつくりませんか?
当事務所では、社会保険・労働保険の手続きや就業規則の作成だけではなく、採用後の定着・人材育成・評価・職場づくりまで含めたサポートを行っています。
会社によって、人が辞める理由は異なります。
そのため、一般論として「こうすれば定着する」と考えるのではなく、
「なぜ自社では人が定着しないのか」
「自社の良さが採用時に伝わっているか」
「入社後のフォローに何が足りないのか」
を一緒に整理することが大切です。
採用して終わりではなく、採用した人が活躍し、成長し、「この会社で働き続けたい」と思える職場づくりを一緒に考えていきます。
「まずは自社の採用・定着のどこに問題があるのか整理したい」というご相談でも大丈夫です。
人材採用・定着でお困りの経営者様、人事担当者様は、お気軽にご相談ください。
お問い合わせはこちら
ひらおか社会保険労務士事務所
▶ お問い合わせフォーム
https://smile-office-sr.com/inquiry/
お問い合わせの際に、「採用・定着について相談したい」とご記載いただければスムーズです。
茨木市を中心に、大阪府内・オンラインでのご相談にも対応しております。
参考情報
厚生労働省「労働市場関連情報」
https://www.mhlw.go.jp/stf/jyouhou.html
厚生労働省「人材の確保・定着に成功した企業の取組の事例集 ~採用活動のコツ~」
※本記事は、厚生労働省が公表している資料等をもとに、企業の採用・人材定着の実務について社会保険労務士の視点から解説したものです。