労務管理

【2026年版】自然災害への備えはできていますか?災害時に経営者が知っておくべき労務管理のポイント/ひらおか社会保険労務士事務所

日本では毎年のように地震・台風・豪雨などの自然災害が発生しています。

近年では南海トラフ地震や首都直下地震への備えも話題となり、「会社として何を準備しておくべきか」と不安を感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。

しかし、実際に災害が発生すると、

  • 「従業員を休ませるべき?」
  • 「休業手当は支払わないといけない?」
  • 「出勤できなかった社員の給与は?」
  • 「災害でケガをしたら労災になる?」

など、多くの労務問題が一気に発生します。

実は、これらは事前にルールを決めておくことで会社を守ることができます。


「その場の判断」が会社を危険にする

災害時に最も危険なのは、

「社長のその場の判断」だけで対応してしまうことです。

例えば、

  • 社員Aには給与を支払った
  • 社員Bには支払わなかった
  • 店舗ごとに対応が違った

このような状況になると、

「不公平だ」

「説明を受けていない」

と従業員とのトラブルにつながる可能性があります。

だからこそ、

災害が起きる前に会社のルールを決めておくこと

が重要なのです。


事例① 台風接近で営業を休止した飲食店

大阪市内で飲食店を経営するA社。

大型台風の接近により、社長は前日に営業中止を決定しました。

翌日、

「今日は休業だから給与は支払わない」

と従業員へ伝えたところ、

「会社都合では?」

「休業手当は出ないのですか?」

との問い合わせが相次ぎました。

結局、就業規則にも災害時の取扱いが定められておらず、労務トラブルへ発展しました。

もし事前に

  • 災害時の出勤判断
  • 休業時の取扱い
  • 緊急連絡方法

を定めていれば、防げたケースでした。


休業手当は必ず支払う必要がある?

ここは経営者から最も多い質問です。

答えは

「ケースによって異なります。」

例えば、

地震や台風によって事業所そのものが被災し、操業ができない場合など、一定の条件を満たす「不可抗力」による休業では、休業手当の支払義務が生じない可能性があります。

一方で、

「安全のため今日は営業を休みにしよう」

という会社判断のみで休業した場合には、休業手当の支払いが必要になるケースがあります。

つまり、

“災害だから払わなくてもいい”

というわけではありません。


給与日前でも給与を支払わなければならないことも

意外と知られていませんが、

労働基準法第25条には

「非常時払い」

という制度があります。

災害で被災した従業員から請求があった場合には、

すでに働いた分の給与については、

給与日を待たずに支払う義務があります。

経営者としては知っておきたい制度です。


BCP(事業継続計画)が会社を守る

災害対策というと、

非常食やヘルメットを準備するだけと思われがちです。

しかし本当に重要なのは

BCP(事業継続計画)

です。

BCPとは、

災害が発生しても、

できるだけ早く事業を復旧させるための計画です。

例えば、

  • 誰が指揮を執るか
  • 従業員の安否確認方法
  • 重要データのバックアップ
  • 取引先との連絡方法
  • 優先的に再開する業務

などを事前に決めておきます。


事例② 建設会社がBCPを作成していた結果…

従業員20名の建設会社B社。

以前からBCPを作成し、

  • 緊急連絡網
  • クラウドでのデータ保存
  • 安否確認アプリ
  • 緊急時マニュアル

を整備していました。

豪雨災害が発生した際も、

全社員の安否を30分以内に確認。

翌日には優先現場を決定し、取引先へ迅速に連絡できたことで、大きな信用を失わずに済みました。

一方、近隣企業では連絡体制が整っておらず、営業再開まで1週間以上を要しました。

「備えていた会社」と「備えていなかった会社」の差が、そのまま事業継続力の差となった事例です。


今すぐ確認したい5つのチェックポイント

災害が起きる前に、次の項目を確認しましょう。

✅ 就業規則に災害時の対応が定められている

✅ 緊急連絡網・安否確認方法がある

✅ 非常用品・備蓄品を準備している

✅ BCP(事業継続計画)を策定している

✅ 災害時の休業・給与ルールを決めている

1つでも不安があれば、早めに見直すことをおすすめします。


社会保険労務士の視点

自然災害は、

**「いつか来るもの」ではなく、「いつ来てもおかしくないもの」**です。

実際に災害が起きてから就業規則を見直したり、BCPを作成したりすることはできません。

だからこそ、

平時から

  • 就業規則
  • 災害時対応マニュアル
  • BCP
  • 労務管理体制

を整備しておくことが、従業員の命と会社の未来を守ることにつながります。

「何から始めればいいかわからない」という企業ほど、専門家へ相談するメリットは大きいでしょう。


まとめ

自然災害への備えは、防災用品を揃えるだけでは十分ではありません。

経営者が備えるべきなのは、

  • 災害時の労務管理
  • 休業手当の考え方
  • 非常時払いへの対応
  • BCP(事業継続計画)
  • 就業規則の整備

です。

万が一のときでも社員を守り、会社を止めないために、今から準備を始めましょう。


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