はじめに
近年、カスタマーハラスメント(カスハラ)が社会問題となる中、企業には従業員を守るための対応が求められています。
しかし、
「クレーム対応が苦手な社員が相談してきた」
「お客様対応に問題があったのではないか」
と考え、相談した従業員に対して不利益な取扱いをしてしまうケースも見受けられます。
実は、カスタマーハラスメントについて相談や申告を行った従業員に対する不利益取扱いは認められていません。
今回は、経営者が知っておくべきカスタマーハラスメント相談者の保護について解説します。
カスタマーハラスメント相談者の保護とは?
事業主は、従業員がカスタマーハラスメントに関する相談や申告を行ったことを理由として、不利益な取扱いをしてはなりません。
また、その内容について従業員へ周知・啓発することも求められています。
不利益取扱いとは?
次のような行為は問題となる可能性があります。
人事上の不利益
- 降格
- 配置転換
- 昇給停止
- 賞与評価の引下げ
- 昇進対象から外す
雇用上の不利益
- 契約更新をしない
- シフトを極端に減らす
- 退職を促す
- 雇止めを行う
職場での不利益
- 相談したことを理由に孤立させる
- 周囲へ情報を漏らす
- 「我慢が足りない」などと非難する
実際にあった相談事例
事例① 飲食店でのシフト削減
アルバイト従業員が、
「常連客から暴言を受けている」
と店長へ相談しました。
ところが店長は、
「クレームを大きくするな」
としてシフトを減らしてしまいました。
結果として従業員は退職。
会社側は労務トラブルへ発展しました。
事例② 医療機関での配置転換
受付職員が患者から執拗な暴言を受けて相談しました。
その後、
「あなたが担当すると問題になるから」
という理由で一方的に配置転換。
本人は納得しておらず、職場への不信感から退職を検討する事態となりました。
事例③ 建設業での契約更新拒否
有期雇用の事務員が取引先からのハラスメントを相談したところ、
「面倒な社員」
という評価を受け、契約更新を見送られました。
相談したこと自体を理由とする不利益取扱いは大きなリスクとなります。
経営者が整備すべき4つのポイント
① 相談窓口を設置する
従業員が安心して相談できる環境を整備しましょう。
- 上司
- 人事担当者
- 外部相談窓口
など複数の相談先を設けることが理想です。
② 不利益取扱い禁止を明文化する
就業規則やカスハラ対応方針に、
「相談・申告を理由とした不利益取扱いを禁止する」
旨を明記しましょう。
③ 管理職教育を行う
現場管理職の認識不足によりトラブルになるケースが少なくありません。
管理職向け研修の実施も重要です。
④ 記録を残す
相談があった場合は、
- 相談日時
- 内容
- 対応経過
- 会社の判断
を記録として残しておきましょう。
後日のトラブル防止につながります。
経営者向けチェックリスト
□ カスタマーハラスメント相談窓口を設置している
□ 相談者への不利益取扱い禁止を定めている
□ 管理職へ周知している
□ 社内研修を実施している
□ 相談記録を保存している
□ カスハラ対応マニュアルがある
□ 就業規則を見直している
まとめ
カスタマーハラスメント対策は、単に顧客対応の問題ではありません。
従業員が安心して相談できる環境を整備し、相談したことを理由とする不利益取扱いを防ぐことが重要です。
従業員を守る姿勢を明確にすることは、人材確保や定着率向上にもつながります。
今後の法改正や企業の責任強化を見据え、社内体制を整備していきましょう。
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