こんにちは。
ひらおか社会保険労務士事務所です。
気温が高くなるこの時期、企業に求められる安全配慮義務の中でも特に重要なのが「熱中症対策」です。
厚生労働省の調査によると、令和7年の職場における熱中症による死傷者数(死亡・休業4日以上)は1,803人となり、統計開始以来最多となりました。死亡者数は減少したものの、熱中症による労災は依然として深刻な状況です。
今回は、経営者が知っておきたい熱中症対策のポイントについて、事例を交えながらわかりやすく解説します。
なぜ熱中症対策が重要なのか?
熱中症は単なる体調不良ではありません。
重症化すると、
- 意識障害
- 臓器障害
- 長期休業
- 死亡事故
につながる可能性があります。
また、従業員が熱中症で倒れた場合、
- 労災事故
- 安全配慮義務違反
- 企業イメージの低下
- 人材確保への悪影響
といった経営リスクも発生します。
特に建設業、製造業、運送業、警備業、飲食業などでは注意が必要です。
厚生労働省が示す熱中症対策の3つのポイント
厚生労働省のガイドラインでは、主に次の3点が重要とされています。
① 設備・体制の整備
まずは熱中症を防止できる環境を整えましょう。
具体例
- 冷房設備の設置
- スポットクーラーの活用
- 日陰スペースの確保
- 給水場所の設置
- 緊急連絡体制の整備
② 熱中症リスクの把握
暑さ指数(WBGT値)などを活用し、現場ごとのリスクを把握します。
例えば、
- 気温35℃以上
- 湿度が高い
- 直射日光が強い
このような日は特に注意が必要です。
③ リスクに応じた措置
リスクが高い場合は、
- 作業時間の短縮
- こまめな休憩
- 水分・塩分補給
- 作業内容の変更
などを実施しましょう。
実際にあった事例
建設会社A社(従業員15名)
真夏の屋根工事現場で、入社3か月の従業員が体調不良を訴えました。
しかし、
- 「もう少し頑張って」
- 「休憩まであと少しだから」
と作業を継続させた結果、現場で倒れて救急搬送されました。
幸い命に別状はありませんでしたが、約1か月の休業となり労災認定を受けました。
その後、
- 朝礼時の体調確認
- 水分補給のルール化
- 空調服の支給
- WBGT値の確認
を実施した結果、熱中症による体調不良者は大幅に減少しました。
経営者が今すぐ確認したいチェックリスト
□ 水分補給を自由に行える環境がある
□ 休憩場所に冷房設備がある
□ 熱中症発生時の連絡体制が決まっている
□ 新入社員や高齢従業員への配慮がある
□ 空調服や冷却グッズを支給している
□ 管理者が熱中症の初期症状を理解している
□ WBGT値や気象情報を確認している
3つ以上チェックが付かない場合は、対策の見直しをおすすめします。
社労士からのワンポイントアドバイス
熱中症対策は「従業員の健康管理」の問題だけではありません。
近年は労働安全衛生法上の安全配慮義務としても重要視されており、対策不足が企業責任として問われるケースも増えています。
特に建設業や屋外作業を伴う事業所では、
- 熱中症対策マニュアルの整備
- 安全衛生教育の実施
- 労災リスクへの備え
を早めに進めることをおすすめします。
まとめ
令和7年の熱中症による職場の死傷者数は過去最多となりました。
これから本格的な夏を迎えるにあたり、
- 設備・体制の整備
- 熱中症リスクの把握
- リスクに応じた措置
を実施することが重要です。
従業員の命と健康を守ることは、企業を守ることにもつながります。
今年の夏が本格化する前に、一度自社の熱中症対策を見直してみてはいかがでしょうか。
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